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第79回 toto coffee 櫻本 末古登さん

喫茶店とカット専門店のお店をしたくて始めました。

五條駅の近くにオープンされました。おしゃれな喫茶店toto coffeeさん。
お店のリフォームは自分達でされたそうです。お店の中に入りますと、どこか懐かしい気持ちになります。こちらでお店をオープンされたきっかけを聞かせていただきました。

お店のオープンまでの道のり

こちらのお店はいつオープンされたんですか?
2023年4月14日にオープンさせていただきました。

―toto coffeeさんの名前の由来を教えて下さい
totoは、息子が僕の事を「とと」お父さんって意味で呼ぶので、後は覚えてもらいやすいとの事でこの名前にしました。

―この場所でカフェをしようと思ったきっかけは何ですか?
喫茶店はしたいと思っていたのと、前職が美容師をしておりまして、美容室とカフェを一緒に両立して出来る建物だと思ってここに決めました。

―おしゃれなお店ですよね?リフォームはご自身でされたんですか?
妻と二人でしました。2か月位かかりました。所々友人や姉にも少し手伝ってもらいました。
昔は禁煙ではなかったので、天井も汚れてましたのでペンキを塗って塗り替えました。窓枠も古くなってましたので、直しました。壁紙はそのままです。カウンターやテーブル、入口の棚は先代の樹里からの物です。椅子も何脚かは変えましたが、何脚かは磨いて再利用してます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―業者は一切入ってないんですか?
水漏れだけは業者に直していただきました。

―カフェをするまでは美容師さんをされてましたよね?
個人的な考え方にはなるんですけども、香芝市で美容室を13年ほどしてまして、10年後自分が美容室を続けていけるかなと思った時に、考えにくかったので、コーヒーも好きでしたし、喫茶店も頭に浮かんでまして、美容師も続けたかったので、両立できる物件を探してました。いつかでてきたらいいなっと位に思ってましたが、急に物件が出てきたので10年を待たずに思い切って決めました。カフェとカット専門店です。
それがいい選択やったかどうか分かりませんけど。やらへんより今やった方がいいかなと。妻も賛成してくれましたので。出来たって感じですね。

―10年待たずにお店をオープンした事は後悔ないですか?
ないですね。

コーヒーのこだわり

―コーヒーの豆の種類は何種類位あるんですか?
そうですね。
1番日本人が飲みやすいのを選んでます。6.7カ国位の豆を仕入れてます。
焙煎した豆を買ってます。この国の豆は深入りで、この国の豆は浅いりにしてほしいとオーダー出来る問屋さんがあったので、焼き加減も注文して入れさせて頂いてます。

―取り寄せして味見をして豆を仕入れるんですか?
そうです。
美容師時代からしてました。コーヒーは好きでしたので。

―コーヒーに興味のない方いますやん?
基本コーヒーは苦いじゃないですか?苦くないようにどないしたらいいのか、そこは入れ方の違いだったり、豆によっては山の標高差や、土の状態で育ち方が変わると言われているので、精製法といって、豆を天日干ししたり、豆を洗ってから天日干ししたりするプロセスがあるのでその違いで味がごろっと変わるとも言われてます。試して飲むのも面白さがあると思います。
甘味が勝つような味、酸味が勝つような味、苦みがきつい味、癖のある味、それを上手い事ブレンドして飲みやすくしたり、正解がないっていえばないし自由な飲み物だと思います。
僕の生き方もそうなんです。自由に生きたいので、自由にもそれなりの責任もともなってきますけどね。好きな事を自由にできたらいいなといつも思っていますので、それがコーヒーに出て来てるかなって思います。コーヒーでもそれを楽しめるかなと、人それぞれの舌があるので・・・・

―毎月コーヒーの種類を変えてますか?
毎月変えてます。毎月違う味でお客様に楽しんでもらえるように。常連さんになってくれたら、この人は薄めがいいなとか、この人はホットしか飲まないんやなって、ホットでも濃いめとか覚えてくるので。濃いめは濃いめでもこっちの濃いめはどうやろうとか、またおすすめ出来たりするんでね。

 ―お客様でコーヒーの濃さで言わはる人はいますか?
います。います。
苦いのがいいとか?超ストロングがいいとかね。

―常連さんはよく来てくれるんですか?
オープンして1年位立つんで常連さんも付いてくれるようになって、次はこのコーヒーにするわとか、今月のお薦めは何とか聞いてくれるんです。コーヒータイムを純粋に楽しみたい方が多いですね。
美容師の時から培ってきたもので、生かされてきたものと思ってますが「何でも言ってくださいねって」言う感じで好みに合わせて作りますよって感じなんです。髪型をオーダーされる訳じゃないですか?それに答えるのが仕事だったので、それの延長線みたいな感じですね。昔ながらの頑固親父喫茶店ではなくてね。

たまにねエスプレッソを頼む方が居るんですが、日本人はブラックを飲めるのがかっこいいってのがあるんです。僕もそう思ってたんですがね。エスプレッソの飲み方ってあるんですよ。めちゃくちゃ濃いんですよ。
エスプレッソって小さいカップなんです。海外では砂糖をいっぱい入れて飲んでコップの底に残った砂糖を最後スプーンでかすってデザート感覚で食べるんですよ。ほとんどの日本人は知らないんです。エスプレッソを頼まれた時は説明しますと他の種類に変えますね。残されるのは嫌じゃないですか?美味しくなかったのかと思うので説明します。たまに海外のお客様で、ドイツやヨーロッパ系の方は、飲み方を知ってますのでその飲み方をしてます。外国人の方はお店の豆を一個一個匂いを嗅いでからコーヒーの種類を決める人もいます。

―コーヒーが苦手な人も多いですよね。
多いですよね。

―うちの娘もコーヒーは苦手で飲まないですけど、totoさんのコーヒーは美味しいと言ってましたよ。
お客様が良く言ってくれます。ブラックは、ミルク入れないと飲めないですけど、ここのは飲めますと言われます。心の中でガッツポーズしてます。
ブラックも抽出して時間がたつと酸味が出てきたり、えぐみが出てきたりするので胃もたれとかもしますからね。

―こだわりはありますか?
うちはハンドドリップでコーヒーを入れてます。お客様の要望にお応えやすいのでハンドドリップにしました。時間はかかってしまいますが続けていきたいです。

―おすすめは何ですか?
馴染みがあるのはブラジルのコーヒーとかなんですけど、グラテマラは、バランスが良くてほとんどのお客様が美味しいと言ってくれました。癖なく飲みやすいとおっしゃってくれました。単品で飲むんでしたらおすすめですね。パンチがあるのを飲みたいんでしたら、インドネシアのマンデリンとかがおすすめですけど。お客様が好む味に提供できるようにはしてますので。お客様にはどんな味が好きなのか聞きますが、めちゃくちゃ簡単に言うと、僕がブレンドしてますので、ブレンドコーヒーがおすすめですと言います。

―アイスコーヒー美味しいですよね?氷が解けても味変わらないですもんね?
特にアイスコーヒー・アイスカフェラテ・アイスカフェオレはドリップする時に氷の上に温かいコーヒーを抽出してるんです。
氷が解けながら丁度いい濃さになってくるんです。そういう所がハンドドリップのいい所なんです。最初は失敗続きでしたよ。改良を重ねて今です。色んな方に知ってほしいですけど時間がかかりますね

モーニングタイム・ランチタイム・カフェタイム

―メニューは変えていってるんですか?
実際お客様に提供して、反応を見てこうした方がいいよとかいう話を直接聞いて、取り入れる部分もありますし、それを自分なりに改良してます。一年お店を営業してきてある程度メニューは定着させて、後はおいおいその季節限定のメニューを出していけたらなと思ってます。

―モーニングのメニューはどんなメニューがあるんですか?
メニューは、一定はしてますが3種類から選べるようにはしてます。

―ランチタイムはどんなメニューがあるんですか?
ランチのメニューはカレーライス・ナポリタンのセットです。
サンドイッチは朝でも昼でも出せるようにしてます。カフェタイムって時間は区切ってはいますが、デザートみたいに、ちょっと食べたいな飲みたいなっていう風な感じにはしてます。遅めのランチの方も居てますので、ランチ時間を過ぎても食べれるように出せるようにはしてます。

―ホットサンドが人気なんですか?
そうですね。

―ホットサンドは五条ガスの従業員に人気ですよ
ありがとうございます。
サンドイッチも、試行錯誤して変えていって、ボリュームを付けまして今の形です。                           ボリュームが出たねと言われます。物足りないと言われるのが嫌なんですよ。

 

 

―人気のサンドイッチは?
照り焼きサンドと豚バラ焼肉サンドも人気がありますよ。
ホットミックスサンドが一番人気です。

―注文を聞いてから作りますよね?
そうなんですよ。早く出したいとは思ってますが、作りおきはちょとね・・・・

―出来立てが一番美味しいですよね?
そうですね。
なるべく作り置きはしたくないので。ただ、ワンオペなので注文が重なると注文を受けてからお出しするまで時間がかかります。なるべく早く出せるように頑張ります。頭の中フル回転でやってます。(笑)

―男性って1つの事しか出来ないじゃないですか?
いやー僕は出来るんですよ。

―女性脳ですね?
そうですかね。
美容室をしていた時も、この店をしてからも楽しいです。
一人は、大変ですがしんどいですが、しんどいのと楽しいのは別次元なんですよ。お客様から「美容室してる方が儲かったやろ?飲食になんで手を出したん」と言われますよ。でもやりたかった仕事なんでしてますと言いますけど。

―お弁当のテイクアウトしてるんですか?
してます。もう宣伝はしてないです。
ミックス弁当一択ですけど。取りに来ていただきましたら大丈夫です。お店をオープンして、来てくれてる始めのお客様は知ってくれてますが、知らない方が多いと思います。
たまにですが弁当、サンドイッチの注文が20個、30個とかあります。数が多い時は、前日までに連絡いただきましたら大丈夫です。数が多い時は、厨房が回らなくなりますので、昼まで店を閉めたりしてました。

一1番のこだわりのメニューは何ですか?

カレーライスですね。
レトルトのルーを2種類ブレンドするんですよ。
その前に、フルーツのリンゴや玉ねぎや色んな野菜を煮だししただし汁にルーを2種類入れて、コーヒーを入れて、トリュフソースを入れて味を調整しながらしてます。
ある日、大阪の岸和田の方でカレー専門店をしてるママさんが寺巡りで五條市に来てまして、お店でカレーを注文されて、美味しいとおっしゃってくれました。食事をされた後に「私大阪の岸和田でカレー専門店してんねん、ここのお店は、ちゃんとやってんねんなって」言われまして。めちゃ嬉しかったですよ。

子供食堂

供食堂はしてるんですか?
してますよ。
毎日してますのでいつでも来てください。中学3年生まで無料ですよ。月に20~30人位来ます。3人位でしたらカレーのストックとご飯はいけますが4,5人以上になるとストックがない時があるので。そうならないようにはしてますが。重なる時は重なるんですよ。食品ロスを無くすのと、食中毒とかには安心なんでレトルトカレーでしてます。
子供食堂の詳細は五條市の広報に掲載しております。

 

―この辺の子供さんが来るんですか?
野原とか二見から自転車で来てますよ。この前は大淀から家族で来てましたよ。たまに五條高校の子達が来ます。高校生とかも来てくれたらいいんですけどね。高校生は代金300円ですので、その分で子供食堂にまわせますので。

― 私が高校生の時は元樹里さんにはよく行ってましたけどね?
元樹里さんに当時の金額を聞いて同じ位の金額で商品を提供してるんですがね?
なかなかですわ。

―土日にカットはしてるんですか?
予約が入ればしてます。

―出張カットもしてるんですか?
お客様から依頼が来ましたらお家に伺ってしてます。
基本、身体が不自由な方やお年寄りです。意外と出張カットはないらしくて、土日に都合がつかない方は、平日にお店を閉めて行く時もあります。エリアは限定してますが、市内でお店から車で10~15分位で予約を受けてます。

子供食堂にしても、カットにしても初めは宣伝してましたが、最近は宣伝してないです。体はひとつじゃないですか?ここに来てくれるお客様から知ってくれて少しづつ広がってくれたらいいなと思いまして。

―フリーマーケットに出店してるんですね?
フリマで他店の方と知り合いに慣れたりするので楽しくていいですよ。フリーマーケットは今後も参加していきたいです。

―五條市で商売をして思う事はありますか?
市自体がやる気がないですね。人を集める事をアピールしてほしいです。奈良県で五條市が最下位から2位なんですって!何で下から2位かはよく知りませんけど。
最下位の宇陀市が奈良テレビでアピールする為にCMしてましたよ。五條市のイベントや祭りの時期だけでもいいのでCMを作ってアピールしたらいいのになって思います。カッキー君とゴーカスターのいいキャラクターがあるのに宣伝したらいいのになと思います。五條市でお金をおとしてほしいです。
五條市民も、もっと五條を好きになって五條でしっかりお金が回るように使って活性化していってほしいですね。
1番ショックやったのが、五條で商売させてもらうようになって、ある日お客様で来店された方が五條で商売されてる方やったんですが「五條でお金使う気がない」と言ってました。それだけ五條に魅力がないって事なんです。もっと市も市民も元気な町にしたいですね。toto coffeeもカット専門店も子供食堂も五條にとってまわりの人達にとって必要とされるように頑張っていきたいです。

―櫻本さん本日はお忙しい中ありがとうございました。

                      toto coffee
         住所                          五條市須恵3-8-2
          営業時間  AM8:00~PM6:00 AM8:00~PM5:00(土曜日のみ)
        定休日                         日曜日
        駐車場                       有

お店をオープンしたきっかけを聞かせていただきましたが、やりたい事をしたいと決めたら実行に移す姿は凄いなと思いました。実行されても、色々とお店の事を考えて行動を起こしてるので感心します。
毎日楽しいですとおっしゃっておられてました姿が、羨ましいなと思ってしまいました。私自身も楽しい人生を送れるように毎日笑顔で過ごしていきたいです。

第75回 カフェ新町ミント 松山幸藏さん 松山明美さん

きっかけはリノベーション
そこから始まり広がる新たな楽しさ

 

猛暑日が続く8月、新町通りでお店を始めたという「ミント」さんを取材。お店の軒先に吊られた風鈴が少しだけ暑さと緊張を和らげてくれました。暖簾をくぐると店内は開放感と趣ある素敵な空間。心地よい音楽が流れる中、出迎えてくださった店主の松山幸藏さんと奥様の明美さんにインタビューさせていただきました。

カウンターを置いてみたら

―こちらのお店はいつオープンされたんですか?
松山幸藏さん 以下 幸藏さん)去年の8月2日です。

―8月2日、今日?!、本日1周年ってことですか?!
幸藏さん)はい、そうです。

―おめでとうございます。
幸藏さん)ありがとうございます。

―現在、日曜日のみの営業ということですが、今日(水曜日)はわざわざお店を開けていただきありがとうございます。
幸藏さん)いえいえ。オープンから2か月ほどは私の仕事が休みの水曜と日曜にお店を開けてたんですが、そうすると、他の用事ができないんでね、例えば病院へ行ったりとか・・・。それで日曜日だけにしようってことになったんです。

―お仕事とおっしゃいますと?
幸藏さん)週5日、大阪の輸入車のディーラーさんへ回送係の仕事に行っています。
お客様の車を車検や修理のために引き取りに行って、工場へ持って行って、修理、点検が終わるとまたお客様のところへお届けする係です。京都や大阪、いろいろな地域へ行きます。

―長年そのお仕事をされてらっしゃるんですか?
幸藏さん)いえ、以前は輸入車メーカーで整備士として働いてたんですが、2009年に会社がこう・・・、パタッとなりまして。そこで、今の会社が回送係を募集していたので、派遣会社を通じて行かせてもらうようになりました。

―お勤めをされながらお店を始めることになった経緯を聞かせてください。
幸藏さん)この建屋がボロボロで雨漏りもしていて、もしこの先、台風や地震

があったときの事を考えると、子供達に負担がかかると思いリノベーションすることにしたんです。工務店の方と打ち合わせをして、とりあえず二階部分をなくして吹き抜けにしようということでご覧の様にどーんと吹き抜けにして。で、そのあと、このスペースを(現在のカウンター付近)どうしようか・・・ってときに、工務店さんから「ちょっとカウンターとかキッチンなんかを置いてもいいんじゃないですかね」って言われて。で、私も、まぁそんなんあってもえーかなくらいの気持ちで進めていったんです。

―喫茶店をしようと思ってリノベした訳ではなかったということですね。
幸藏さん)全く、そんなつもりはなかったんです。何かしたいなって言うのは多少はありましたけど、そんな強くは思ってなくて、車とかバイクが好きなんでそういうのをここでいじれたら・・・とか、そういうぼやっとしたイメージはありました。私の「何かしたい」構想と、工務店さんの「何かした方がいいですよ」が合わさっていったんですかね。でも実際カウンターと流しが入ると、あ、ここでコーヒー飲めて、好きなジャズも聞ける。なかなかいいなと思ったんですよ。で、こんなかたちになりました。

開店までの道のり

―構想が固まってからのスケジュールは?
幸藏さん)一昨年(2021年)12月に工事が始まって翌年4月に完成。そこから色々準備をして、7月に知り合いや親戚をよんでプレオープン。8月に正式に・・・といっても告知等は一切せずこそっとオープンしました笑  工事が終ってからの準備がね、結構大変で、全くの素人だったので何かを選ぶにしてもどれを選んでいいのか、どういう感じでいったらいいのか・・・。でもその後たまたま行った家具屋さんや電気屋さんで何かいい感じのものがあったので、これえぇやん、これもええやんって感じでとんとんと決まって揃えました。
コーヒーのマシンとかはね、もともと家にあったやつです。うち親戚も多くてお客様もたくさん来るんで、普段からよくコーヒーはいれてたんです。

―オープン当初の思い出は?
幸藏さん)やっぱり緊張しました。お客様が来られたらまず水とおしぼりを出して、動線をどうしてとか、豆をどうしてとかね。オープンの告知もしてなかったですし、通りがかりの人が気付いて入ってきてくれるって感じで、メニューもコーヒー、紅茶、コーラくらいに絞って何とかやれてたって感じでした。

―1年経った今、いかがですか?
幸藏さん)ま、ぼちぼちって感じです。常連さんもちょっとずつ増えてきました。車関係の仕事のお客さん、あと、毎朝の通勤で知り合った方がいて、こんなん(店)しますねんって言ったら来てくれたり、観光客の方も入ってくれるようになりました。

―手作りのケーキは、営業日の前日にご準備されるんですか?
松山明美さん 以下明美さん)土曜の晩から寝やんと焼きます。夜から作り始めて5~6種類くらいかな。

―寝やんと?! 5~6種類?! でもメニューにはケーキが載ってないですね?
幸藏さん)1年間はお試しで様子みてみよってことで、ドリンク注文のお客様にはケーキをいくつか無償でお出ししてたんです。
明美さん)そう、お試し中なんで。喜んでもらえたらそれでいいの。「いいんですか?!」ってびっくりされたりしますけど笑

―はい、私もびっくりしてます笑 奥様は昔からケーキ作りをよくされてたんですか?
明美さん)はい、昔から食べるのも作るのも好きで笑 だからほんとはもっと若い時にお店をしたかったんですけど、この歳になって、これからゆっくりしようって思てたときにお店することになって・・・笑。それもコーヒーなんていれたことないお父さんがお店するって言うんやもん笑。でも何かお手伝いできるかなと思ってね。

―ご主人・・・、コーヒーいれたことなかったんですか?笑
幸藏さん)ないです笑 店するまでは仕事から帰ってきてご飯食べてお酒飲んで、しばらくしたら奥さんに「コーヒーいれて」って。しばらくしたら「何か甘いもんない?」って。そう・・・私「何もしない人」やったんです笑

―そのご主人が今は喫茶のマスター!
明美さん)そうそう笑
幸藏さん)コーヒー屋さんのHPやYouTubeを見て、豆の量、湯の量、温度、蒸らす時間等を研究して試行錯誤を繰り返し・・・の末、結構味にうるさい息子達も美味しいと言ってくれたんで、ま、何とかいけてるのかなと笑

―息子さん達はお店を始めるにあたってどのように?
幸藏さん)「ちゃんとやらなあかんで」って笑。もう、何かすごい怒られました笑 「何をどうして、どうするのか、ちゃんと決めたんか?」「ほんまに、ちゃんとできるんか?」と笑。ま、それまで何もしたことない・・・、飲食に関わる仕事なんてもちろん、それこそコーヒーなんていれたことない人間が急にそんなことできるのかって事だったんでしょうね。

―今、美味しいコーヒー、いただいております笑
幸藏さん)ありがとうございます笑。

バイク、ケーキ、あいみょん。

―奥様はケーキ作り、ご主人は車やバイク、ジャズがお好きとのことですが、「スイーツ」に関してはご夫婦で色々お店巡りをされてるそうですね。
明美さん)そうですね、ケーキ屋、パン屋巡りは結構しますね。私達、案外、食の好みが合うんですよ。嫌いな食べものも一緒やし、昔は信州までお蕎麦を食べに行ったりとかもしてたのよ。お父さんが車でどこへでも連れてってくれるからほんま嬉しい。
幸藏さん)車の運転は好きなんで、どこでも行きます。
明美さん)三田にスイーツの街があるんです。ケーキだけじゃなく、チョコレート専門店とかアイスの専門店とかいろんなお店が一帯にあって一日遊べそうな街。 そこへも朝早くから出かけて、並んでジェラート食べたり、子供に買って帰ったり、お父さんもほんまスイーツ好き。仕事のお昼休みにも色々買いに行って写真載せてるみたいで、それ(SNS)を見た友達が「幸藏さん、また何か買って食べてるで」って教えてくれるんです笑

―大阪だとたくさんお店もありますもんね?
幸藏さん)そうですね。今の職場のある大阪西区エリアも美味しいケーキ屋さんの激戦区で、よく昼休みに自転車で買いに行くんですよ。そのときディーラーのジャンパー着てるからお店の人がすぐ顔覚えてくれて笑。今から10年くらい前に、扇町のフランス菓子のお店に感動したのがきっかけで、それまでちょこちょこ買いに行く程度だったのが食べログとかで調べていろんなお店に頻繁に行くようになったんです。

―ジャズについては?
幸藏さん)ジャズはもうずっと昔から聞いてて。お店するにあたって何度も日本橋に行ってスピーカーを決めてきました。これはJBLっていうジャズにマッチしたアメリカのスピーカー。あと私の好きなアーティストのポスターを取り寄せて飾ったりしてここは、ま、私の趣味的なスペースでもある訳です。だから家に帰って食事を終えたらもうここに来て、コーヒーやお酒を飲みながらゆっくりジャズを聞きます。あと、中島みゆき、あいみょん

―あいみょんも聞くんですね!?
幸藏さん)聞きます聞きます。もう1個の方のスピーカーで聞くとね、ほんと、あいみょんがその場で歌ってるかのように聞こえるんですよ。初めてYouTubeであいみょんを聞いた時からこの子すごいなーって思ってて、そしたらその後ドーンと売れて笑

―食後もここに来て・・・。この場所を楽しんでらっしゃるんですね。
幸藏さん)はい。そこがいちばん大きいです笑 自分が楽しめてるこの場所に、お客さんが来てくれて、音楽とか、車、バイク、スイーツの話をできるのがとても楽しいです。このお店のこれが美味しいよとか、パンでも総菜系やハード系いろいろありますし、お酒だったら奈良の日本酒も色々飲んだので、お話できるかなと。教えてあげられること、逆に私もお客さんから教えてもらえることがうれしいんです。

―行く行くは平日のオープンもお考えですか?
幸藏さん)そうですね、私ももうすぐ70歳になるんで体力、視力、運転の技術の問題もでてきます。お客様の大切なお車、さらに輸入車は500~600万、中には1000万する車もありますからね。年々、より慎重に運転することを心掛けていますが、ディーラーさん側の判断もありますし、いつまで契約してもらえるのか、あるいは出勤日数を減らしてもらえるかなど相談していこうと思っています。少し余裕ができてきたら、だんだんこっちがメインになってお店開ける日も増やせるかと思います。

次は釜めし?クラフトビール?

―新町ミントという店名の由来は?
幸藏さん)店名は何がいいかっていろいろまぁ、家族会議で相談して・・・。で、私、虫が嫌いなんですよ。大阪って虫あんまりいないでしょ、こっちきたら、すぐそこが河原で、蚊、蜂、いろいろいてて。今はさすがに少しは慣れましたけどね。で、そこから、ミントって虫除けになるなっていうの新町通りで「新町ミント」。
あと、ミントってお菓子にも使うでしょ、奥さんもミントのケーキを作りますし、飾りにも使ってますので。

―「虫除け」の意味が含まれてたとは笑 五條市は自然豊かですからね、虫もたくさんいます笑
幸藏さん)私は元々大阪の人間でここには養子で来させてもらったんです。ずっと会社と家の往復で朝早く出て夜遅く帰ってくる生活が長かったですから、五條のことは最近ようやく色々分かって来た感じなんです。

―これからお店で取り入れたいことや考案中のものはありますか?
幸藏さん)かき氷ありますか?って来てくれるんで、それも考えようかなと。あと、ランチ的なものができればいいですね。

―ランチ、ぜひ♪ 奥様お料理好きとのことですし。
明美さん)いや~そんなん無理やわ~笑 主人が仕事辞めて完全にここってなったらまたそのとき考えよかな~。
幸藏さん)前に釜めしとか天ぷらとかだし巻とか色々作って親戚に食べてもらったりはしたんですよ。お試しで。

―釜めし、だし巻・・・ご主人、日本酒も色々ご存知とのことですし、奥様のお料理でお酒も進むのではないですか?
幸藏さん)はい。でも手術してからは控え目で・・・。私3年前に大病してね、それからいろんなことをぼちぼちしょうかなって考えになったんです。
明美さん)そう、病気してね。10キロくらい痩せたよね?お父さん、ここ(五條)に来てくれて今まで一生懸命、頑張ってくれたから、これからの人生は自分の好きなことしてくれたらいいと思ってね。
幸藏さん)病気してへんかったらこんなんしてへんだかもね笑
明美さん)
バイクで走り回ってたんちゃう?笑
幸藏さん)そうやな~
。休みならツーリングとか?
明美さん)偶然かもしれないけど、車好き、音楽好きな人が来てくれたり、あと今度カフェを始めたいって方が来てくれたことがあって、とっても話が弾んでお父さんも喜んでるのを見ると嬉しくて。だから私はちょっと出てきてお手伝いさせてもらってるだけ。
幸藏さん)今、クラフトビール巡りも楽しみのひとつで。私に資金力があったらねぇ、新町でクラフトビールのお店もしたいんですけど・・・笑

―ぜひ、クラフトビールのお店してください!その時はまた取材に来ます!笑
幸藏さん)そんなん無理無理~

―五條市についてどういったことを感じますか?
幸藏さん)大阪から最初来たときはなんて静かなとこなんだと。 風景や街並みも綺麗で大阪のガヤガヤが当たり前だった私にとっては静かだなーという印象でした。
明美さん)私はずっと暮らしてきたからそんなんも当たり前に思ってた。交通の便が不便やなと思ってましたけど。
幸藏さん)私が五條に来た頃は、まだ電車の本数も結構あったけど、今はかなり減ってるでしょ。
明美さん)雨とか風でよく電車停まってるでしょう?あれは困るよね、通勤、通学の人が難儀してるもん。そういうの改善策考えてあげてほしいよね。
幸藏さん)交通の便ね・・・ま、不便だからこそ、この風景が保ててるかもしれないですしね。大阪はやっぱり雑踏の中という感じですからね。今はアマゾンとか楽天でどこに居ても何でも買える時代だし、住むにはこういう街がいいかもしれませんね。

―幸藏さん、明美さん、本日はありがとうございました。

喫茶 新町ミント
  住      所 〒637-0043
奈良県五條市新町1丁目11-6
  営   業   日  日曜日
  営 業 時 間 10:00~17:00
  駐 車 場

☆スタッフHのすぽっとwrite☆

「お試し中なんで・・・。」そういって出してくださったケーキはどれも本格的。
なかでも初めて食べたミントのケーキが美味しくて印象に残りました。
美味しいコーヒーとケーキをいただきながら教えてもらったスイーツ、パン、お食事、たこ焼き・・・の美味しいお店など、おふたりのその情報量といったらほんとにすごくて、取材後もペンが走る走る笑 いや~お腹も心も情報も満たされました。

これから私も忙しくなりそうです。教えてもらったお店、「お試し」に行かないと♪