こどもたちに「経験」と「感動」を与えたい
―なかよし保育園の歴史についてお伺いしたいのですが。
「なかよし保育園」は昭和56年に開園しました。平成23年に30周年を迎えさせていただくことができ、あれからもう5年が経とうとしてますので創立35年です。
―保育園をつくろうと思われたのは?
当園の現会長であります田野瀬良太郎が五條市で市会議員をさせていただいておりました頃、市内をまわり多くの方達とお話しをさせてもらう機会がありました。その中で低年齢の子供さんをお預かりする保育園が五條市にあればという声を多く耳にしたんです。もちろん五條市の各地域に保育園はありましたが、受け入れ年齢は3歳児からでした。丁度その頃、五條市でも女性の社会参加、働く女性が増加し、乳児から安心して預けることのできる保育園が求められ始めました。私自身の子供達も小学校へ上がり、結婚前まで幼稚園教諭として働いていた経験を活かし、働く女性の役に立ちたいという思いから保育園をつくることになりました。
―開園前、また開園後の様子などを聞かせてもらえますか。
開園に向け建設中の保育園。ちょうど骨組みができた頃だったでしょうか・・・何人きてくれるかな・・・と、だるまストーブを前に、申込みにきてくださる方を日々待っていた状況は今でも忘れられません。建物が完成に近づくと共にひとり、またひとり・・・と入園児が増え、初年度は園児33名と7名の先生でスタートしました。
当時はまだ、「小さいうちに親元から離して保育園に入れるなんてかわいそう」という考えがありました。ですが、決してそんなことはなく、同年齢の子供とたくさん遊び、そしてぶつかり喧嘩したり、泣いたり笑ったりするのは本当にいいことなんだと自信を持って言いつづけてきました。特に現代では少子化などの問題もあり兄弟姉妹も昔に比べると少ない時代ですよね。親御さんが安心して預けることのできる、そして子供達も元気に楽しく過ごせる保育園を目指しやってきたという日々です。
―なかよし保育園という名前は?
園名は何にしようかと考えた時、これしかないという感じでしたね。
「なかよし」。仲良くすることこそが、社会性、人の輪を大切にするということ。いろんな「違い」を持った人達同志が力を合わせて物事を考えたり、行動したり。「みんな違ってみんないい」ってフレーズありますよね?違うけど認め合える・・・そんな思いから「なかよし保育園」しか思い浮かびませんでした。
―現在の園児数、保育時間や受け入れ年齢について
生後6ケ月からお預かりしています。園児数は現在168名です。
通常保育ですと、朝8時半から夕方4時半、延長保育ですと朝7時半から夜7時半までです。
―なかよし保育園の保育の特徴について
保育の三本柱として専門講師による音楽指導、体育指導、英語指導を取り入れています。
―それぞれ具体的にはどのようなことをされているのですか?
体育指導、週に1回、子供達にとってはお兄さんのような存在の体操の先生と一緒に年齢に応じた体操や運動をします。鉄棒や縄跳びがとてもうまくできるようになったり、体力もしっかりつき、5歳児では金剛登山もします。とにかく体を動かすのが好き、楽しいと思える子供達になってほしいという思いからです。
英語指導、ネイティブの先生と触れ合い、日本語を覚えるがごとく英語も知らないうちに身に付けば、負担なく自然に英語に親しめると思いいち早く取り入れました。
音楽指導、リズムは大事です。私達の体そのものも鼓動や血の流れ、リズムがあります。体で感じるリズム感を身に着け、本物の楽器に触れたり、そこから奏でる音色を聴いたりすることで感性を豊かにしてほしいという思いです。
その他には書道を取り入れ、日本古来の毛筆を知り、筆の感触や、心落ち着かせて書くということを何となくでも感じ取ってくれたらなぁと思っています。
―子供達はこの保育園でいろんな経験をしているのですね。
保育園は何をするところかというと基本は「お遊び」なんです。保育園に来てお勉強をする・・・というものではないんです。広いお庭で自由に元気に遊んだり、歌を歌ったり。その中で年齢に応じて考えること、手先や体を動かすこと、そして基本的な生活の習慣、食事の仕方や楽しさ、手洗いや歯磨きなどの衛生的な感覚も身につけていくのです。
人間形成の根っこづくりの大切な時期をこの保育園で過ごす訳ですから、長い保育時間を有効的に、さまざまな経験を通じて子供達の無限の可能性を伸ばしてあげたいと思っています。
「経験」すること、そこから生まれる楽しさ、うれしさ・・・心が動きます。心が動くと、意欲が湧き、体も動きます。
そのような子供達を育てていきたいと考えています。
―年間行事にはいろいろなものがありますが、いくつかについて聞かせてください。
つい先日お遊戯会が終わったばかりです。次は3月のおもちつき、おすもうさんが来てくれて子供達と一緒におもちつきをするんです。子供達大喜びです。
夏はお泊り会。大塔町の「ほしのくに」へ行くんですよ。天体望遠鏡を覗いて星を観察したり、川遊び、飯盒炊飯、虫取りなど、親元を離れてのお泊りで心配なさる親御さんの不安も吹き飛ぶほど、子供達は初めて体験するいろんなことに目を輝かせています。
そして秋、大阪城ホールで開催される「幼児マーチングカーニバル」はやはりいちばんの思い出に残る行事ではないでしょうか。入園後、小豆の入った空き缶をふってガチャガチャ音が鳴るのを楽しむリズム遊びから始まり、少しずつ正しいリズム感を身につけ、流れる音楽に合わせて太鼓を叩き、自らが演奏できるようになるというように段階的なレベルアップの過程を踏み、その集大成ともいえるのが大舞台大阪城ホールでのマーチングです。
音楽指導や体育指導のなかで習得してきたことはもちろん、目標を決めそれに向かって一歩一歩努力していく忍耐力、仲間と息を合わせる大切さ、連帯感、緊張感、やり終えた後の達成感、感動・・・マーチングを成し遂げた子供達の姿はすばらしいです。初めて参加してからもう25回目。毎年、子供達よくがんばった!!と感動で涙、涙です。
―給食は自園での調理ですか?
はい。離乳食など年齢に合わせた調理、その日の体調やアレルギーに対応した献立、自園での調理だからこそ対応できます。また、お昼前になると園内に漂ういいにおいがまた食事への楽しみ、家庭的な感じがいいと思っています。和食の献立も多く、子供達は給食が大好きです。
―いいにおい・・・もしかしてや今日の献立は、お寿司ですか?(笑)お酢の香りがしましたが・・・
その通りです(笑)今日は丁度節分で、献立は巻き寿司でしたよ。
そういうことなんですよ、あ、今日カレーかなとか、食事への興味や楽しみですね。
―35年の歴史の中ではたくさんの数えきれない思い出もあったかとおもいますが。
そうですね。本当にたくさんの思い出があります。
日々成長する子供達の姿を毎日見守り、卒園していく姿を見送り、そしてまた新しく園児を迎え・・・と繰り返してきました。卒園後、保育士を目指し夢を叶えてこの保育園に戻ってきてくれたり、父となり母となり、我が子もこの保育園に預けてくださり保護者としてまた保育園のためにご協力くださる方々、中学生、高校生になって、園の前を通ると懐かしさのあまり門をくぐって会いにきてくれる学生さん、そして、経験豊かな保育士の先生方や、地域の方々のご協力・・・たくさんの人に支えられてここまでやってこれました。
まだまだ努力していかなければならないことももちろんありますが、皆様のご意見やご要望、またご協力のもとにこれから40年50年と積み重ねていきたいと思っています。
―五條市で保育園をされてきて思うことは?
吉野川など美しい自然に囲まれた五條市は素敵で大好きです。
大好きな五條市だから子供を産んで育てやすいまちになってほしいなと思います。自然がいっぱいの環境的には問題ないこの五條市でこれから子育てしやすくなるような制度などを取り入れ、子供の歓声がひびく五條市になってほしいと思います。安心して子供を産み、子供達の将来を一緒に楽しみながらお父さんもお母さんも頑張っていけるように、私自身の役割を果たしていきたいと思っています。
―園長先生、本日はありがとうございました。
住所 五條市岡町767-1
TEL 0747-24-4115
FAX 0747-24-4116
☆スタッフHのすぽっとwrite☆
インタビュー中、窓から、園庭の遊具で遊んだり芝生を駆け回る子供達の姿が見え、笑い声や、仲間や先生を呼ぶ元気な声が聞こえてきました。
うちの娘達もあんな小さかったなぁ、あんな風に遊んでたなぁ・・・毎日大変だったけど、懐かしいなぁ・・・と昔を思い出し、そして「子供達の歓声っていいな・・・」と思いました。
この日、初めて伺うなかよし保育園で園長先生のお話を聞き、園内や子供達の様子を見学させてもらうという「経験」ができてよかったです。