第62回 平井歯科医院 院長 平井正純さん

いつも患者さん目線で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

五條市初の歯医者さん

―平井歯科医院さんの開院はいつですか?
明治40年3月15日です。

―今から110年以上も前ですね。とても歴史がありますが、どなたが開院されたのですか?
ひいお爺さんです。当時、奈良県では4番目、五條市では初めての歯医者でした。

―開院当初からこの場所ですか?
はい、場所はここです。この建物は昭和36年に建て替えたもので、幼かった私も何となく建て替えの時の記憶があります。

―やはり、子供の頃からご自身も歯医者になろうと?
そうですね、小さい頃、ひいお婆さんから、自分は歯医者になるんだ・・・というような話をずっと聞かされて育ってきた印象があります。それを言われること、親類が集まったときなど、後継ぎだ・・・なんていわれるのが子供の頃はもう正直嫌でね・・・笑
でもその時代・・・昔は兄弟がたくさんいる中でもやはり長男には厳しく、家業を継ぐのが当たり前という感じで、そのために厳しく育てられるということを親父からもよく聞きました。私は姉と妹を持つ三人兄弟の真ん中でしたので、やはり自分はこの歯医者を継ぐんだという意識はありましたね。

―やはり、お父様は厳しかったのですか?
親父よりも祖父が厳しかったですね。よく叱られました。

―平井歯科医院を継がれるまでの道のりについて聞かせてください。
高校を卒業して歯科大学(親父の時代は専門学校)へ進学し、そこで6年間勉強し、卒業後、奈良の歯科医院で2年半ほど勤めた頃、突然親父が倒れ、急遽実家に帰ってくることになって、それで・・・。

―突然の事だったんですね。戻ってこられたときはどんな様子でしたか?
そうですね・・・普通、家業を継ぐというと、帰ってきてしばらくは親父に教えてもらいながらサポートもしつつ徐々に・・・って感じなんでしょうけど、私の場合、そんなんとは違ったのでねぇ。患者さんがいつも通り治療に来たら、いつもと違う先生が出てきて治療される訳ですから、表情がもう「えぇ・・・(汗)誰?」みたいなのが伝わってきたのを覚えてます。
機器類や材料も勤務してた奈良の歯科医院のものと比べると、うちは初代の頃から使っていたものもあったので、やはり古くて使い勝手が悪いなと思い、徐々にですが機器を入れ替え仕事をしていった記憶があります。親父が復帰し始めた頃に私自身も勉強会に参加するなどしてさらなる知識や情報を習得しました。

お恥ずかしながら・・・

―歯医者さんの治療と言えばまず「虫歯治療」が思い浮かびますが、その他にはどんな治療がありますか?
「歯周病」です。

―「歯周病」ってよく聞きますけど、どんな病気ですか?
歯を支えている組織が病気になるんです。

―最初はどういった症状で来院されるんですか?
歯がゆるんできたり、グラグラして噛めない、歯茎が腫れて痛い!と言って来院されます。その時点でかなり進行してる進行している場合もあって、歯周病から入歯になってしまう症例の方も多いです。

―原因は何ですか?
歯周病菌です。お口のなか、歯と歯茎の間に菌が溜まって炎症を起こすんです。
歯並びや噛み合わせの問題や、歯磨きが行きとどかず十分に磨き切れてないことなどが原因でお口に菌が残ってしまうんです。

―歯周病予防のために医院で取り組んでらっしゃることなどありますか?
昔は虫歯治療が完了したらそれで終わりだったんですが、今は、治療後もお口全体の様子を管理しながら診ていくためにも定期的な来院を勧めています。
歯周病は特に目に見えて悪くなったとか、痛いといった症状がないので放置されがちなんです。ですが、その少しずつの汚れが積もり積もって後に歯周病を引き起こすので、定期的なケアを行うことでいくつになってもご自身の歯を健康に保つことにつながります。保険制度も昔と比べて変わってきてますので、歯に対する意識と日頃のケア、検診の機会を取り入れていってほしいと思います。特に五條市ではかなり前から幼稚園、保育園、市内小学校にて児童へのフッ素洗口を行っています。大変いい取り組みだと思います。

―時代と共に歯に対する意識や取り組みも変わってきてるんですね
虫歯と歯周病は歯の二大疾患と言われてきました。昔は子供の数も多かった分、虫歯になる子供の数も多かったですが、少子化や時代の変化とともに歯科の啓もう活動も強化されてきたこともあって、子供の虫歯そのものは減少していると思います。また虫歯になっても放置されることなくちゃんと治療をされてますね。昔は学校へ歯科検診に行くと、なんぼほど虫歯あるねん・・・て子いましたけど笑、最近はそんなこともなく、ちゃんと治療されている様子がうかがえますね。

―学校を卒業すると毎年の歯科検診の機会がなくなり、私自身も大人になってから虫歯になってしまいとても後悔しています。
そうですね、学校での歯科検診は毎年あって、その結果をもとに夏休みに治療に来る・・・そんな流れは昔からありましたけど、卒業後はそういう機会もなく、ご自身で定期的に歯科医に行くという習慣もないですよね。痛くなって初めて歯医者へ、その頃にはかなり進行しているということ多いんじゃないでしょうか。今では節目検診や妊婦検診等、市から案内等が届くようになったりしてどんどん歯に対する意識付けの活動は増えてきてますけどね。

―食材、食生活も変わり、人生100年ともいわれる時代です。死ぬまで自分の歯でというのはとても大切であると同時にそのためのケアは大切なんですね。
寿命が延びたことで年齢と共に低下する生活レベルや体の機能、同時に噛む力や飲み込む力も弱くなっていきます。「フレイル」(口腔機能低下症)という病気や、昔に比べて小さくなってきている顎の大きさ・・・そういった昔とは違う現代のお口の病気、そのための治療も出てきています。五條市が今やっているような検診事業を今後も継続、普及させながら、高校卒業後や青年期の検診の習慣化といった新しい取り組みなども始めてほしいですね。

―がん検診等の案内にはとても意識や関心があるのに歯となると二の次になってしまいがちです。もっと、歯に対する意識を高めていかないといけないということですよね。
そうですね。歯のトラブルが原因で体に思わぬ病気を引き起こすこともありますからね。それに歯は「生きるために食べる・噛む」ということにつながる大切な役割ですからね。

―治療の技術の中で、昔とくらべて格段によくなったものってどんなものですか?
CAD/CAM(キャドキャム)です。「かぶせ」は今まで手作業で型をとって模型を再現していました。金属を一旦溶かしてから型に合わせて削っていきます。金属を熱で溶かす方法では、気泡ができたり、また金属の性質上、膨張や収縮といった実際に歯に被せたときの微妙な違和感があったりしたんですが、キャドキャムは金属を溶かすことなく型通りに削るのでそういった問題もないんです。

―歯医者さんは虫歯ゼロですか?
お恥ずかしながら・・・(汗)(笑)

―治療はよその歯医者さんに行くんですか笑?
はい・・・(汗)

常に患者さん目線で

―今まで歯科医を続けてきた中で、何か思い出は?
色々ありますけど、たくさん治療してきたなかで、うまくいかなかった症例の方が頭に残ってるんですよね。若くて経験も浅い未熟だった頃に治療した症例がいまだに脳裏に焼き付いています。
そして患者さんのことは、こわいほどよく覚えているもので、最後に治療してから十数年後に偶然往診でお会いしても、覚えてますね。よみがえってくるんですよね。歯の模型をみても、どの患者さんのものかお顔が思い浮かんだりしますしね。

―歯科医をしていて大変なことは何ですか?
経営ですね。治療ももちろん大変ですが、経営していかないといけない。こんなコロナウイルスといった経験したことのない事態が起こっても、やはり経営して、従業員を守っていかないといけない。そこはリアルに大変なことですね。

―歯科医としてのやりがいは何ですか?
「喜んでもらえたとき」ですね。治療をして、ありがとうございましたって喜んでもらえたとき、感謝されたときがいちばんですね。そしてまた、次につながっていくこと・・・ですね。どんな職業であってもそうじゃないですかね?ありがとうっていってもらえて次につながる、活力となる。だから、私が患者や、客の立場になる場合でもありがとうって、感謝は伝えるようにしてますね。
勘違いしてはいけないのは、うちに来られてる患者さんがすべて、ずっと自分の患者さんだと思ってはいけないということです。うちに来てくださってる患者さんが他の歯医者さんに行くことがあったとしてもまた、うちに治療に来てくれたときはあ、またうちを選んでくださったんだと、それほど嬉しいことはないです。

―私自身も、治療はもちろんですが、相談しやすかったとか、ちゃんと説明をしてくれた、そういったところで次も行こうと思いますね。
やはり医者と患者さんも「人間関係」ですからね。戻ってきてくださる患者さんもいれば、ちょっとした行き違いで患者さんが離れてしまって再構築できないこともあります。私自身も患者さんから教えてもらうことがたくさんあって、そこは真意にこたえていけるところはこたえていかないとと思いますね。あえて言いにくいことでも言ってくれる、そこを患者さん目線として聞き入れることは大切だと思います。

―日頃の歯のケアについてアドバイスをいただけますか?
今、世間では新型コロナウイルスで大変ですが、これから秋から冬にかけてはインフルエンザが流行る季節です。お口のケアはインフルエンザ予防につながることから新型コロナウイルス感染予防に対しても何らか有効ではないかと思うので、そのあたりのケアについてのお話になるんですが・・・・。

インフルエンザは、ウイルスが細胞に侵入、増殖、放出を繰り返すことで病気が発症します。歯周病菌や歯垢内の細菌がのど付近に存在すると、このサイクルを手助けしてインフルエンザが発症しやすくなる可能性があります。お口の健康はインフルエンザ予防につながり、専門的口腔ケアでインフルエンザの発症が約10分の1に抑えれるというリサーチ結果もでています。日頃から、手洗い、うがいはもちろん、帰宅時にハミガキを取り入れたり、また、特に痛みや目立たった箇所がなくても定期的な歯科検診を生活の中に取り入れていっていただくことで、その他の体の病気を予防することにもつながるいうことですので、ぜひおすすすめします。

ーやはり、日頃からのケア、意識、習慣なんですね・・・。
そうですね。

―五條市でお仕事をしていて感じることは?
どんどん人口が減ってきている、人がいないと活気がなくなる、住みたいなと思える街としてなんとか策があればと思いますね。住んでもらう街づくりといいますか、ま、それは五條市だけでなく、全国的にも同じような問題がある地域はあると思います。人口が増え、子供が増えたらいろんなことが活気づくと思いますが、そういう問題を突き詰めると、なんか、日本の問題にもつながりそうですね。

 

リーダーシップに憧れて?

―ご趣味は何ですか?
音楽鑑賞です。

―どんなジャンルをお聴きになりますか?
ジャンルは幅広いです。好きなアーティストはBz・矢沢永吉・忌野清志郎・松任谷由美、倖田來未・・・。それから浜崎あゆみ、松田聖子・・・全部コンサートに行きました!

―ほんと幅広いですね!
実は私、楽器演奏も趣味でして。

―どんな楽器を?
ドラム、あと和太鼓。だから音楽を聴くのはもちろん好きですが、その聴いた音楽がドラムで演奏できないかっていうのが常に頭にあって、そういう観点で聴く音楽もあります。

―ドラムが趣味のきっかけは?
ただ単にかっこよかったからです(笑)
ドラムってバンドの中の要というかリーダー的なパーツだと思うんです。リーダーシップを発揮しないといけないというか、他の楽器と比べると、音階もなければ、音を長引かしたりということもできない、なのに重要なパーツ。私自身はリーダーシップを発揮するタイプの人間ではない、だからなのか楽器ではそういうものに惹かれるんでしょうね(笑)

ーいつ頃から始められたんですか?
実際本物のドラムを触ったのは大学生の時です。
仲のいい先輩が軽音楽部で、よく見学に行っていて・・・。そこのバンドのドラムが相撲部も掛け持ちしてて、彼が相撲の練習で抜けたときに叩いてみる?って言われて叩かせてもらって。それであぁ!やっぱりいい!と思ったんですよね。小学校のころからテレビで見るドラムに興味があって、箸で本やら机を叩いたりして真似事はしてたんですが、実物のドラムを叩いたその瞬間以来、生演奏を、それも間近で見たいと、ますます興味を持ち始めました。

―習いに行かれてるんですか?
いつだったか新聞の折り込みに通信教育のドラム受講講座の案内があり、受講し始めました。テープに録音されたものが送られてくるのですが、なかなか通信教育では感覚がつかめず、大阪のミキ楽器に習いに行くことにしました。そこで、やっぱり通信とは違う素晴らしさを体感しました。バスドラムとシンバルの兼ね合いなど、生で聴く新たな学びもあり、一変にドラムの叩き方に変化が起こりました。それ以来今もずっと習ってます。自宅での練習はもちろん大事なんですが、やはり誰かに聞いてもらって、見てもらって、ここをこうしてと指導してもらうことはとても大事で、それがないとやはり上達しないなと思いましたね。

―今後、ドラムでの夢は?
いや、まだまだ下手で夢とまではなかなか・・・笑 たまに知り合いの方のピアノ演奏に合わせてドラムを叩かせてもらったりしてます。

―休みの日はどう過ごされてますか?
ゆっくりしてます。たまに出かけたり、日曜大工とかします。

―歯医者としての今後の展望は?
いや、もう歳も歳なのでね・・・ゆっくりしたい?ですね笑 これから新しい時代の人に何か教えられることがあったらそういうことをしていきたいなと思ってますけど、無理かな笑

平井先生、本日はありがとうございました。

  住 所  奈良県五條市五條1丁目7-5
  電 話  0747-22-2107
  診療時間  AM9:00~PM7:00
  休診日  木曜・日曜・祝日
  駐車場  有

 


☆スタッフHのすぽっとwrite☆

インタビューの事前準備「シュミレーション」
業種やその方の印象等から質問内容を考え、
こんな感じで進めよう、進めるかな?いや、この質問はどうかな・・・と
想像する。

今回は仕事の話はもちろん、最後に必ず聞こうと決めていたことがある。
「趣味」の話。
なぜなら、平井先生は、聞く側が楽しくなるほど
嬉しそうに、頬を緩めて好きな音楽や楽器の話をする方だったから。

インタビューも終盤、「先生ご趣味は?」
そこからドラムや、CD、動画を見せてくださり、そのご様子と
いったらまさに「シュミレーション通り」でした笑

 

 

 

 

 

 

 

 

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