第61回 割烹 山海里 養田勝紀さん

地元五條でお店ができる、最高です。

 

料理人になるきっかけから意識改革まで

―山海里さんがお店を始めた経緯について教えていただけますか?
親父が始めたお店を僕が継いだかたちです。親父が最初大川橋のたもとで店を始めまして、そっちで20年ほどして、で、ここに移ってきて22~23年なんで、もう、40年以上になりますね。

―最初はこの場所ではなかったんですね。移転することになったのはなぜですか?そうですね、前の店はテナントだったんで、自分の店が欲しかったんじゃないでしょうかね。

―養田さんは、やはりお父様の影響で料理人になりたいと?
いえ、僕、実は全くそのつもりなかったんですよ。大学に通ってるときに親父から継いでくれって言われて。それで大学卒業してから修行に出ました。

―何か他に志してたものがおありだったんですか?
特にそういう訳でもなかったんですけど、子供の頃から大学に入るまでずっと野球をやってきて、大学入ると同時に野球もしなくなって、なんて言うんでしょうか、燃え尽き症候群みたいな感じになってましたね。

―では、その道に進むことに迷いはなかったんですか?
そうですね、迷う理由がなかったというか、はい。

―心のどこかでは料理人としての道をちらっと考えたことは?
いや、なかったですね笑。ほんとに。だから、当然料理に対する知識や関心も薄く、キャベツとレタスの違いも分からないレベルでいきなり、修行に行きましたから笑

―修行はどちらに行かれたんですか?
京都祇園の日本料理店へ修行に行きました。

―何年くらい修行を?
6年です。

―修行へはどう挑みましたか?
ほんとに何も分からなすぎたせいか、楽な気持ちで行ったんですよね。

―え?!楽な気持ちで?!
あ~、僕、ずっと野球やってきたんで、厳しくされるってことに対しては特に抵抗がないというか当然だと思ってたので、そういう意味では楽な気持ちで行ったんです。親父も2年ほど修行してきたらええよって感じでしたし、ま、2年頑張ろうかみたいな。

―実際、どうでした?
厳しいどころじゃなかったですよ笑。もう箸の持ち方から怒られまして。ま、料理のことはもちろん、言われてしょうがないんですが、僕のあまりの無知さからか、「親はそんなことも教えてくれへんだんか!」みたいなこと言われて・・・。その時からです、何か僕の中で確実に意識が変わったのは。何で親のことまで言われやなあかんねん!みたいなね。

―厳しい世界だというのはよく聞きますが、意識改革のきっかけがそういう形で起こったんですね。
はい、それが起爆剤?じゃないですけど、そこからくっそ~、腹立つ~、ていう意識から仕事への向き合い方が変わったというか・・・。

―具体的にどんな風に変わったんですか?
それまでは、何でも言うことを聞いていればいいやと思ってたんです。言われたことに対してはい、はいと。でも、それからは「〇〇やっとけよ」って言われた時には、「もうできてます」と、先にやっておくようにしました。ま、それが修行の道で学ぶことなんでしょうけど、僕の内心は相手の穴をかいてやろうじゃないけど、とにかく相手に先に言われるのが嫌で嫌で、何か言われたくない一心ですよね笑。でもその意識が地元に帰って親父の店を継ぐときに、親父にも教えてもらいたくない、親父の仕事以上のことを覚えて帰らなあかん・・・そういうとこにつながっていったんですよね。それじゃ、2年じゃ絶対無理やなって思って、それで6年修行しました。

―修行中でうれしかった思い出は?
ないです笑 マジでないです笑

―きっかけはどうであれ、意識改革できたことが今の養田さんにつながっているということですね。それで戻ってこられて、お店を継いだということですね?
そうですね、親父と一緒にという感じで。でも3年ほど前、親父が体調崩してしまってから、昼間は僕と妻2人で、夜はアルバイトの方達に手伝ってもらいながらやってます。

人気の饅頭

―地元に戻ってこられた当初はどうでした?
厳しい修行を終えて帰ってきたら、このお店がとてもゆるく感じて笑
なんか、そのゆるさに流されてしまってはいけないって思いと、ここは親父の店なんだし、僕はサブとして、親父のサポートなんだから親父のやりたいように・・・、そういう2つの思いがありました。

―お父様とぶつかったりとか?
ありますあります、しょっちゅうですよ笑
親父の献立に、もうちょっとなんか足したほうがいいんじゃないかとか意見することもありましたし、他にもいろいろ。

―養田さんの1日のスケジュールは?
仕出しの予約があるときは朝は早いですけど、特に予約がなければ9時頃お店来て昼2時まで営業。そこからちょっと休憩して、夕方5時から夜10時まで営業してます。

―お魚の仕入れも養田さんが?
はい、漁港に(和歌山)に直接行って仕入れたり、市場に行って仕入れます。

―山海里のお店の特徴は?
僕が修行していたお店は京都祇園のカウンター割烹(カウンターのみの懐石料理店)だったんですけど、そのお店に比べたら、うちのお店はカウンターもあれば、個室もある、そして宴会場が2つあって規模が大きいんです。一品から懐石、そして京都で学んだ料理を取り入れたコース料理を楽しんでもらう、いろんな場面に対応できる、そして地域に密着したお店を目指してやっています。

―日本料理は特に四季を感じられる料理ですよね。やはり、こちらでも季節の食材を?

はい、季節に応じて取り入れてます。例えば、この時期だと夏野菜。冬瓜、ずいき、あと、さんど豆、オクラとか茄子を使ってちょっと変わった料理をお出ししています。

―人気のメニューは何ですか?
レンコン饅頭です。もともとコースメニューの中の一品だったんですが、単品でも出してほしいと言っていただいて出すようにしてます。餅米とレンコンをすり合わせたものを揚げ、その上にウナギをのせてあんをかけたものです。

―美味しそうですね。
はい、人気です。

―養田さんご自身も他のお店に食べに行かれたりするんですか?
はい、食べに行きます。インスタ見て美味しそうやなって思ったとこへ食べに行ったり。最近はちょっと行けてないですけど。

―ご自宅でもお料理されるんですか?
しないです笑 賄いではパスタとか作りますけどね。

―賄いパスタ!?それも興味あります。私、パスタが大好きなんです。
修行中にイタリアンのシェフと知り合いになって、パスタの茹で方とか教えてもらったことがあるんです。それで・・・。暑い時期には冷製パスタとかね。お客さんにもリクエストされて作ったこともあります笑 からすみなんかを使ったパスタですけど。

―養田さんの好きな食べ物って何ですか?
うどんです笑  毎日うどんでもいいです。だから、賄いメニューもうどんが多くて、バイトの子に「また、うどんですか?笑」って言われます笑

―お休みの日は何をされてますか?
ゆっくりしてます。たまに妻と食事に行ったり。

―趣味は何ですか?
釣りです、海釣り。自分で釣った魚も出したりします。

五條でお店ができる・・・それって最高じゃないですか。

―養田さんが料理でこだわっていることって何ですか?
もちろん出汁とか、味付けはこだわっているというか当然大事ですが、最終的な「盛り付け」ですかね。綺麗にかっこよく、かわいくっていうのを心掛けてますね。

 

 

 

 

―またお仕事するうえで大切にしていることは?
親父の代から来てくださっている常連のお客様を大事にして、新しく自分のお客様、ファンも増やしていって、このお店を守り続けていくことです。

―ご自身の料理人としての歩み、また地元に戻ってからの10年を振り返ってみていかがですか?
「料理人」といっても子供の頃からその道を志して中学校出てすぐ修行に出る人、あるいは高校を出て専門学校、そして修行に出る人、僕のような道を経て料理人になる人、皆それぞれ違う歩みがあると思うんです。好きだと思って進む人もいれば、そうでない人、諦めてしまう人もいます。入り口はそれぞれ違うし経てきた経験も違うと当然それぞれが違う料理人になります。

3年ほど前から自分が中心でお店をするようになって、これからはちょっとずつ「自分の色」を出していきたいなと思っています。親父のときは一品料理とあと鍋料理がメインでしたが、僕は京料理を取り入れたコース料理をメインにしていきたいと思っています。これだけの規模のお店を一からしようと思えは大変です。そう思うと、僕は恵まれてるなと思うんです。親父が始めたこのお店、地域の皆さんに大事にしてもらって続けてこれたこのお店を守っていきたい、守っていかないといけないなと思っています。

―五條市でお店をしてることについて、そして今後の夢は?
生まれた町でお店をさせてもらってる、それって最高じゃないですかね。
これからも地元で可愛がってもらえるお店になれるように頑張りたいです。大部屋を座敷スタイルから、椅子とテーブルスタイルに変更したりと少しずつですが、ニーズに合わせるように取り組んでいます。窓からもっと景色が見えたら・・・、個室を掘りごたつにした方が・・・と、まだまだ改葬したいところはありますが、幅広い年齢、地域の方に、幅広い目的でご利用いただけるようなお店を目指していきたいです。そしてやっぱり「コース料理」を食べにきてもらいたいです。

 

ー養田さん、ありがとうございました。

 

 店  名  山海里
 住  所  五條市御山町1-2
 電  話  0747-22-1739
 営業時間  11:30~14:00  17:00~22:00
 定 休 日  火曜日
 駐 車 場  有

大部屋・個室(座敷部屋・テーブル部屋共に有)
コース料理は予約要。


☆スタッフHのすぽっとwrite☆

インタビューも終わりに近づき、五條でお店をしてることについての質問に
「地元で店ができる、そんな最高なことないでしょ」と養田さん。
「僕は恵まれてると思います」と続く言葉には、父から継いだお店、お客様への感謝、そして料理人として仕事に誇りを持って取り組んでいる様子が伝わりました。

自ら望んで進んだ道ではなかった・・・料理人への入口はそうであっても
こんな美味しい日本料理のコースを出してくれる料理人がいる、お店がある・・・
そんな五條市って・・・最高じゃないですか!(^^)!

 

 

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