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第85回 株式会社トライアブル              代表取締役 右馬良平さん

建設業の新3Kを目指して

2020年9月10日設立 株式会社トライアブル。生まれ育った町でこれまで培った建設のノウハウを元に、新たに展開する事業はすべて「人」との出会いから。
若い世代と共に、彼らが誇りを持てる職場づくりにトライし続ける代表取締役 右馬良平さんにお話を伺いました。

 

理想の会社を作りたかった

 

―まずは簡単に御社の事業内容を教えていただけますか?

主となるのが「建設業」、建設工事の請負です。それに付随した事業「地域デザイン事業」としてNOBU建築工房。これは建築の設計事務所なんですが、地域の賑わいを取り戻したい、五條市の人口を一人でも増やしたいという思いから立ち上げました。木造家屋の新築、改築、リノベーションに加え、小規模店舗や事務所等の設計を手掛けています。

次に「サポート事業」。こちらはさらに3つの分野に分かれていて、まず一つ目が「ドローンライセンスSORA」。ドローンスクールの運営とドローン機体の販売をしています。二つ目は「ドローンレッカーSORA」。大型ドローンを活用し、人力では困難な場所への建設資材の運搬を実現し、省人化、省力化を図る取り組みです。三つ目は現在開校準備中の「重機等の技能講習所」。こちらは建設業界の新しい担い手を育成すると共に、当社で働く職人さんが現役を退いた後も長く働き続けられる場を用意しておきたいという思いから計画しています。大きくはこの三つの事業構成でやっています。

 

―ありがとうございます。では社名「トライアブル」について、名付けた由来やその名に込めた想いを教えてください。

まず「Try(トライ)」=「とにかくやってみる」
「Trial(トライアル)」は「試しに取引してみたくなる会社」
“あの会社、1回使ってみよか”みたいなね。
そして「Triers(トライヤーズ)」これは「挑戦者・努力家の集まり」って紹介してるんですけど、要は「野心家」を採りたいと思って。“いつか自分でやりたいねん”とかそういう子ね。
そして「Bull(ブル)」。これは「力強く上昇する」。これらを文字ってスペルの見た目を整えた造語で「TRYABLE(トライアブル)」と名付けました。

 

―会社を立ち上げた経緯について聞かせてください。

20代の頃、創業者の祖父の死をきっかけに祖父の建設会社に入り、20年以上、建設や経営、現場作業他、多くのことを学び、教わりました。会社経営や組織運営、人材評価等、いろんなことに携わり経験を重ねてきた時、自分の中に生じた強い違和感がきっかけで「自分ならどうするか」を真剣に考えるようになりました。それが次第に「自分の理想とする会社を作りたい」という強い思いに変わり、独立、起業という道を選びました。

 

―起業を決めてからの道のりはどうでしたか?

自分の中で独立、起業を決意したのは2020年のお盆休み中でした。休みが明けて8月末には会社を辞めて、翌月9月10日にこの会社を作りました。超スピードです。ほんと準備期間2週間ほどで構想練って、準備して。バタバタでしたね。

 

―創業当初はコロナ禍の影響で大きな変化があったとのことですが、具体的にどのようなことがあったのですか?

営業でいうと、親交を深める会食等は一切できず、営業に行くこと自体もはばかられたので、どうしたらいいんやろ・・・みたいなのはありましたね。発熱者が出ると現場はストップでしたし、いろんな制約もありました。それに加えて、プライベートでは娘の大学受験も控えてたりと、その年、僕42歳、厄年で・・・(笑) 何かもういろんなことが重なったときにスタートした会社なんです(笑)

 

―コロナ禍は予想だにしなかった事ではありましたが、厄年等を考えて、起業を翌年に・・・というお考えはなかったのでしょうか。当時の状況を振り返っていかがですか?どう乗り越えたのでしょうか?
当時は自分を突き動かすある種の「パワー」しかなかったので、そのパワーの強さを痛感しながら突き進んでいたという感じですね。だから乗り越えた・・・って感覚はなかったですけど、
あてにしてた計画がダメになったりとかはあって、それがピンチだったのかもしれない。でもあてにしてたものとは全く違う方向で今うまくいってるので、振り返ると総じて何かしら「ツイてたな」って感じがしますね。

 

―取引先・協力業者・経営の先輩方に支えられたとのことですが、その方達との印象に残っている出会いや言葉はありますか?

独立するにあたって、ある方に一言言ってもらったのが「あんたやったらできると思うわ」。その言葉は耳に残ってますね。もう「やるしかない」「やるだけや」と、ただ突き進んでいた僕としてはその言葉をかけてもらって気持ちが楽になったというか。あと、それまで同業他社でライバルだと思ってた人も、実は味方で仲良くしてくれたり。いろんな方に支えられました。

 

―社員数は何名ですか?

創業当初4人でスタートして、今現在20人。5倍になりました。

 

―創業から共に歩んできた社員、新たに加わった社員の方達。
どんなチームですか?

「野武士集団」です。

 

―野武士?
そう。野武士。大名などに仕えず己の腕一本で生き抜いた戦国時代の武士のことで、個々で手柄をたてて領地を広げたり、自分の力と才能で道を切り開いていく、まさに僕が求めてる「野心家」です。
僕は彼らを「多能職多能工」って呼んでいて、技術者さんは「多能職」。営業もできて管理もできる、そしてドローンもできる。職人さんは「多能工」。重機に乗るし、型枠も、鉄筋も組める、塗装もできる。何でもできる・・・。そういう集団。だから、ああせーこうせーって言わなくても自分達で考えて動いてくれる。方針を立てたら通る道はバラバラだけど、一緒にやっていける人達が揃っています。

―それはとても頼もしいチーム、仲間ですね。

はい。頼もしいです。

 

「人」との出会いで始まる事業。空も、空き家も。 

 

―では改めて、御社の3つの事業、それぞれについて聞かせていただきたいのですが、まずは建設業㈱トライアブルの内容や強みはどういったことでしょうか。

建設業としては、道や堤防等を作る土木工事の他、老朽化した橋やトンネル等の保守、メンテナンス工事、それに付随した塗装工事等を手掛けていて、多種多様な工事を自社の社員で対応できるところ、災害が起きたときに応急復旧対応に活躍できる事業内容が強みかなと思っています。

 

―次に「地域デザイン事業」NOBU建築工房。こちら「デザイン」ではなく「地域デザイン」とはどういったことなのでしょうか?

そうなんです(笑) これは壮大といいますか・・・。どんどん増えてきている空き家を、1軒1軒デザインする、リノベーションするのは普通の事業なんですけど、この空き家は、だんだん「群」になってくると思うんです。それらをまとめて何か統一感のあるデザイン、街をデザインしたいっていう願望。これはほんとに壮大な計画で(笑)。点々が段々つながって人を呼び込めるような仕組みを作りたいなと。でもそれって1社でできることではないので、僕の会社でできるのはこの部分、他で賛同協力してくれる企業さんはこの部分って感じで連携してできたらって思っています。そういう意味の「地域デザイン」ですね。

 

―サポート事業SORAについてですが、ドローン事業を始められたのにはどんなきっかけがあったんでしょうか?

きっかけは土木工事の測量にドローンを活用しようという業界の気運が6~7年前から高まってきたこともあって、僕も前の会社時代から携わってたんです。当初の測量技術は平面測量が主流だったのが、3D測量ができるドローンができて、建設との親和性の高さに着目してそこから入り込んだのがきっかけです。当時、ドローンを測量のために使っている業者しかいなかった中、僕達はドローンを工事の出来高に直結する使い方はないかなと探していたときに、運搬用の大型ドローンがリリースされたんです。それを使って建設資材を運ぼうと試んで、実証実験をうまくクリアできたことで「ドローンレッカー」の事業化に繋げました。

 

―会社を設立するときからドローン事業を見据えていたというわけではなかったのですね。

はい。ドローンビジネスを始めたのが2023年、創業から3年目の時です。ドローンの主担当者の社員は、僕が前職時代にドローンの資格を取りに行ったときに出会った子で、話の中で、「会社を辞めて自分で何かしたいと思ってる」って言うんで「じゃ、うちでやらへん?スクールとかやろうよ」「え?じゃぁやります」みたいな感じでスタートしたんです。そのとき工事では既にドローンを使い始めてはいたんですけど、事業化したのはその子が入社したからですかね。実はさきほどの地域デザイン事業のNOBU建築工房もそうなんです。「独立したい、でもな・・・」って迷ってたので「じゃ、うちでやりよ」みたいな感じで。

 

―それぞれの事業は「人との出会いから生まれた事業」と言えますね。

そのとおりです。創業時はそこまで想定していなかったので。「人に仕事をつけていく」みたいなやり方が好きで・・・。現場監督が欲しいから、この仕事をして欲しいから求人募集・・・ではなくて、何かに興味を持って入社したいって子がいたら「どんな事できるんかな」ってところから、うちのサービスとの親和性、おもしろいか、あとは地域の役に立つのかってところで、いけそうやなって思ったら何でもやります。

 

―ドローンといえば小型の空撮用をイメージしますが、運搬用とはどんなものでしょうか?

羽を広げたら直系3.5Mくらい、車道半分占めるくらいですね。でもたたむと小さいので車にも積めます。1回あたり運べる荷物は40㎏程なので、建設資材を運ぶには物足りないイメージだったんですが、一生懸命運ぶと1日に3トンくらいの資材を運べたのですごく効率はあがりました。

 

―具体的にどんな現場での作業効率があがりましたか?

「法面工事」です。がけ崩れとかの現場の斜面に網を張ってるの知ってます?あれって資材を一旦モノレールで山頂まで上げるんです。職人さんは命綱を付けて法面(斜面)にぶら下がって、横移動しながら資材を1個1個運んできて網を張る、また取りに行くっていう作業が普通だったんですけど、ドローンで作業員の手元に運んであげると、横移動しなくて済むので網を張り付けるだけなんです。一例としては金網を3,000㎡張る現場では30日かかる仕事が6日で終わるというすごい工期短縮ができたうえに、危険も少なく安全に作業できたんです。

 

―作業の進捗で作業員さんが資材を欲しいタイミングってあるじゃないですか?それはどうするんですか?無線でやりとりとか?

金網はロール状になってて、事前打ち合わせで、1回あたり37㎏調整とか、何本あるかとか、作業時間をリサーチします。それで運んでみると、帰ってくる間にだいたい軽く取り付けられてるんです。仮止めみたいなかたちで。で、また次のを運んでみたいなのを繰り返して全部仮止め状態が終わると僕らの仕事(ドローン操作)は終わりなので、あとは職人さんが本設して仕上げていくかたちですね。

 

―それはとても効率があがりますね。

他のドローン屋さんだと、資材をどんどん運んで行ってしまって職人さんとのタイミングが合わなかったりするんですが、うちは操作する僕らもまた土建屋だから職人さんとの阿吽の呼吸がとれてうまくいくんです。

 

―「ドローンレッカー」って初めて聞いたんですが・・・。

そうでしょうね(笑)クレーン車ってあるでしょ、あれを建設用語では通称、レッカーって呼ぶんです。作業員の手元に資材が届く様子がまさにクレーンそのものだったので、「レッカーやん」「ドローンレッカーやん」っていうので名付けました。

 

―名付けたとは?元々ある建設用語とかではないんですか?

名付けたんです。商標も取ってます(笑)。「レッカーって事故車を引っ張るやつちゃうの?」とか、「何でレッカーなん?」て聞かれるんですけど、建設マンはレッカー=クレーンていうイメージなので「あ、ドローンのレッカーか」と。そういう経緯で当社のドローン事業のブランド名です。

 

―すばらしいですね。建設との親和性を活かした御社の強みですよね。

少し前に道路の陥没事故、ありましたよね。ああいった事故の多くは下水道管等の老朽化が原因です。そのため一定以上の大きさの管は、人が実際に中に入って調査することになっていますが、地下の閉鎖空間は酸素濃度や有毒ガスの問題からドローンでの調査を取り入れようという気運が高まっています。
そんな中、地下構造物を点群化、3D化できる優れた測量技術ドローン(スイス製)が開発されたんです。ドローンはGPS機能で、地上、屋外では安定飛行するんですが、地下ではGPSを拾えないので、通常、飛ばせないんです。でもそのドローンはそういった環境下でも安定飛行する機体で、それをたまたまYouTubeで見つけて、正規販売代理店になり自社で導入しました。この前、下水道管調査の実証実験をしたんですが、とてもうまくいきました。

 

―優れたドローンによりいろんな課題が解決されますね。

管の中をドローンが飛んで映像、静止画、赤外線情報を三次元化したものを同時に撮ってくるので、危険もなく早く点検ができます。社会問題にもなっている陥没事故に対して、緊急点検の指令や通知も出される中、人手不足などで対応に追われているところで役に立てたらと思っています。

 

―まだまだドローン活用の幅って広がりそうですね。

いくらでもあると思います。搬入困難箇所、調査困難箇所といった「困難な領域へのトライ」というテーマでやってるんですが、もうひとつ「作業困難箇所」という分野があって、こっちは設備投資が膨大すぎてまだ手をつけれてないんですが、その3つでだいたい完結するかなと思っています。どれもニッチな分野ですが、大手企業とは違った分野で勝負しようと思っています。

 

―ドローンライセンス事業についてお聞かせください。ドローンを飛ばすのに資格や許可が必要なんでしょうか?

僕らが業務でドローンを飛ばすときは国土交通省で飛行許可を取らないといけないんです。許可を取るために「資格」は必須ではなく「実務経験」で大丈夫なんですが、資格があることで実務の証明になり申請がスムーズなんです。当社では国家資格がとれるスクール(奈良・和歌山)、必要な許認可申請サポート、機体の販売、登録、メンテナンス等、オールインワンでやっています。あと、古物商の免許も取れたのでドローンの下取りも始め、初心者向けに安く再販したりしてドローンを気軽に手に取ってもらいやすいようにしています。

 

ー例えばドローンを五條市や地域の方のために活用するとすればどんなことがあると思いますか

紀伊半島大水害の時、自衛隊は支援物資を担いで山を越えました。今後、起こり得る災害で孤立集落ができたとき、ドローンレッカーで物資を搬送できれば、例えば4~5㎞先の集落に500MLのペットボトルだと約3ケース一気に届けられます。
また最近では買い物弱者の支援サービスの実証実験が行われていますが、ドローンで日用品を搬送するといった展開ができると思っています。

 

―ではドローンを使って「こんなことができたら面白いな」というのはありますか?

面白いこと・・・?エンタメ要素ってことかな。それは考えたことないな。でも今後出てくるかも(笑)

うちの会社の主となるのはやはり「建設」なんですが、ドローンに憧れて入社する方も少なからずいて。今の建設業ってスコップやツルハシ持って・・・みたいな昔のイメージじゃなくて、最新技術を取り入れながらする工事が増えてきてるんです。それで省人化、省力化に繋げているんですけど、ドローン活用もそのひとつで、建設業のキツイとか危険っていうイメージを変えていこうというための取り組みでもあるんです。

 

魅せる建設業を目指して

 

―ドローン活用が建設業のイメージを変えていくための取り組みのひとつというお話でしたが、御社は「給料が良く、休暇が取れ、希望が持てる=新3K」を掲げておられるのも、そういうことでしょうか。

最近ではそこに「かっこいい」が加わって新4Kっていうらしいんですが、これって、建設業に限らずかもしれないけど、成り手が減ってきている、職人さんとか技術者さんとか。それって、「建設、土木の仕事って、キツイし給料も安いし、おもろないわ」って、他業種にいってしまうケースもあると思うんです。そういうのを改善して、建設業を魅力あるものにしたいなっていう思いからです。

 

―実際にどんなことに取り組んでいますか?

お給料に関しては業界水準より高くしています。ただ、それが本人にとって十分かどうかは僕らの感覚とは違うし、僕らが決めるものではないんですよね。だから「自分が残した結果に対して自分達で給料決めや」っていうのはみんなに言ってます。でもなかなか言ってくる社員はいないですね。これは日本人特有なのか、お金のことを言うのははばかられるみたいな?でもその考えは捨ててもらわないと。やったことに対しての給料、これは当然のことなので。目標を掲げて仮にそれが達成できなかったとしても、いやらしい言い方かもしれませんが、先行投資だと思って惜しまないですね。反面、厳しいことをいうと投資っていつまでも続かないよ(笑)て言ったりもします。

あと、休みは基本完全週休2日制ですが、お客さんの都合で土曜日出ないといけないとか、そういうのも当然あります。できるだけそれもなくしていきたいと思っています。

―社員さん達の反応はどうですか?

僕が直接感想を聞くことって全くないので、文句言っていようが、いいなと思っていようが僕には聞こえてこないのでわからないですね。でも、それをわざわざ聞くこともないですし、その必要もないと思っています。自分のできることは精一杯やってるつもりなので。
あと「希望」の部分に関しては、こういうよそとは違う建設業の業態をとっていることも、希望に繋がるのでは?という思いからです。新しいことをやってる会社というところに興味や魅力を感じて若い社員が入社している、じゃ、先行きも明るいよなっていう「希望」を持ってくれればと。だからどんどん新しいことはやり続けないとっていうプレッシャーはあります。

 

―給料、休暇面は会社が対応できたとして「希望」に関しては社員側の感覚ですものね。

会社の雰囲気とか成長とか未来があるかにかかってくると思います。
新3Kの取り組みに加えて、新たなK「かっこいい」も取り入れようと、例えば会社の車もブランディングをして、何かこう土建屋っぽくないビジュアルというかね。

 

 

―その社名入りのおしゃれなTシャツもそうですね?
そうそう(笑)

 

―この素敵なオフィスもそうですし、いろいろ工夫されてるんですね。

そうでしょ(笑) 土木や公共工事をして例えば「わー、走りやすい道、ありがとう」とか、ほぼ言われないでしょ(笑) 使う人の声が聞こえない仕事というか。
堤防を作るとき、洪水が起きても崩れない様にとか、そういう目に見えないニーズにこたえていくような仕事なので。だから、新3K、4Kをやりつづけて、それを魅力的に感じてもらって、あの仕事したいって思ってもらえたらなと思います。

 

 

―新3K、4Kが実現してもやはり現場は体力勝負。やはり「キツイ」部分はあるわけですよね。

そうなんです。新3K・4Kによって「キツイ」がなくなるわけじゃなく緩和されるようにしているってことなので、確かにキツイ部分は業種としてはあります。でも工事に携わる人って使命感を持ってやってると思うんです。「僕らが地域を守ってる」という、いざとなったら「地域の守り手」になる。そう思って、それをモチベーションにしてやっていく。必要だと言ってもらえなくても、「やってる意味」を必要とされる会社だと思い込んでやるっていうのかな。

設計、デザイン、ドローン事業で生のお客様の声が聞けると、それが新鮮だという社員もいるので、デザインやドローン事業を同じ会社でやってるからこそ体感できることだと思います。

―若い人達との接点も増えたと思うんですが、これからの会社づくりにどう活かしてきたいですか?

答えになるかどうかわからないですが「NOBU建築工房」「ドローンレッカーSORA」「ドローンライセンスSORA」これらは全て㈱トライアブルの中の一部署のブランドとしてやってるんですが、いずれ分社化する予定です。分社して主担当者がそれぞれ社長でやればいいと思っています。それはもうあらかじめ公言してますし、うちの会社自体も、子供に継がせるつもりは一切なくて、創業時から、「次お前やれよ」と指名もしています。でもその時にはそう育ってないとあかんよって。

後から後からいろんな若い人、能力がある人が入ってくれて、その時々で変わってくるでしょ、優先順位って。後継者としてやれるチャンスもあるんだけど、そこまでの仕事はできないと思う人もいるだろうし、いずれにしても社員の中からやってもらいたいなと思ってます。その時にその力量がある人。勤続年数だとか、創業メンバーだからとか一切関係なく。

 

 

次の世代へ

―設立から5年、振り返ってみていかがですか?

「ツイてたなぁ」かな(笑)。早かったですね、5年。あっという間でした。

 

―今抱えてる課題は何ですか?

今、多くの企業が悩んでいる「人手不足」ということに関しては、これもまた「ツイてる」かもしれないですけど、うちは解決できてて、どちらかというとリソースの方が過剰気味で。要は機械とか人とか、経営資源の方が受注量よりも上回ってしまってるので、もっと営業面、攻めていく方を強化してかないといけないというとこですかね。

 

―今後チャレンジしていきたいことは何ですか?

土木との親和性なども考えながら新分野への進出は考えていきたいと思っています。土木ってどうしても暇な時期と忙しい時期に分かれてしまいますし、職人さん達が定年後も長く働ける場が、今ある技能講習所だけでは足りないので、他にも何かできる分野を準備したいと思っています。

 

―五條で事業を行うことの意味や魅力はどんなところにありますか?

生まれ育った町でもありますし、今、若い人達って大阪や東京に何かしらの魅力を感じて出て行ってしまいますが、こういう過疎の地域の中小零細企業でも、実は「年収、大手企業よりいいやん」とか、「休みもめっちゃあるやん」「働きやすい」とか、そういう魅力を地方の会社がやってることに意味があるんじゃないかって。要するに地元に残ってほしいんですよね。

 

―お仕事以外では、どんなことに興味がありますか?

えー?何だろ。ま、ゴルフとかもしますけど、会社の若い子らとワイワイ言ってるのが楽しいというか。

 

―リフレッシュ方法などあれば教えてください。

サウナ、水風呂。今それしかないですね(笑) 「サ活」です。

 

―社長にとって「いい会社」とは、どんな会社でしょうか?

内部的には「みんなが豊かな暮らしができる会社」、対外的には「必要とされる会社」ですかね。
みんなに聞いてみたんです。「豊かな暮らしって何?」って。8~9割の社員が「お金と時間」って言うんです。多分、今のフェーズとしてはそういうことなんだろなって。だからその部分に関しては、自分的にはやってるつもりでも社員達はもっと豊かになりたいというのが「給料」であり「休暇」なんだろうなって。ここが満たされてきたら、また違う豊かさが出てくるのかもしれませんね。

 

―では社長にとっての「豊かな暮らし」とは何ですか?

何だろう・・・。僕抜きでも自走する組織になって、若い子らがすごい経営者になってくれたらめちゃめちゃ嬉しいなって思います。その人たちをサポートしながら成長を見守りつつ、僕がお給料をもらう(笑)。最高のセカンドライフですね。道のりは長いですけど。

 

―若い人、これから起業しようとしている人に伝えたいことはありますか?

知識とか計画性とか、もちろん大事なんですけど、考えてるよりも動く、行動力のみ。知識半分くらいでとにかくやってみようということですかね。僕が創業したのは42歳で、若くもないし経営者としてのスタートは遅い方でしたけど、やってみたら、たくさんの人からの応援や何かしらの答えが出てカタチになっていったんです。ワクワクすることって段々減ってきますし、僕も昼間は会社で若い子達といると元気でイケイケなのに、家に帰ってひとりの時間になると、何かめっちゃ不安とういか、何だろう・・・この昼と夜の差はって思いますもんね。

 

―社長が作りたかった会社で、頼もしい「野武士集団」と過ごす時間がとても満たされているということなんでしょうね。

そうでしょうね。トップダウンではなく自走する組織。何か少し寂しさもありますけど、見ているとワクワクしますね。

 

ー右馬社長、本日はありがとうございました。

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☆スタッフHのすぽっとwrite☆

必要だと言葉で言われなくても「やってる意味を必要とされる会社」だと信じ、地域の守り手として仕事をする。

道路もトンネルも堤防も安心安全な状態が当たり前。「当たり前を守ること」。
「我々ガス会社と似てますね」と話しながらお見送りいただいた玄関外の
敷地があまりに広く、思わず「ここでも何かできそうですよね?」と最後の質問。

すかさず
「この後バーベキューやねん♪」

夕立が来そうな曇り空を心配気に見上げながら、若者とのワイワイ、イケイケ?な時間が楽しみと言わんばかりの右馬社長でした(笑)

 

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