仕事はきっちりと、最後にはお客さまの笑顔が見られることが楽しみです。
日本の文化のひとつ畳、和室に入りますとい草のいい香りホッとする空間・・・。
綺麗に整理整頓された作業場から、一畳一畳心を込めて作られお客さまのお宅へと運ばれていく畳、 採寸から製造、敷き込みまでご家族で営まれています。西出タタミ店 西出隆男さんにお話を伺いました。
-タタミ店さんの創業を教えていただけますか。
「父親が独立して店を構えたのが平成元年です。五條市二見3丁目9-20(前工場)で約10年、その後国道沿いに店舗を移転し営業しています。」
-畳職人さんになられたきっかけは?
「父親の仕事を手伝っていると面白くなっていたのですが、そのうち一度は他の仕事を見てみたいという気持があり他の仕事についていましたが、やっぱりこの仕事が好きで戻ろうと思いました。
私がこの仕事のついた頃は、日本建築の家が多くそれに伴い和室も沢山あり、その中でみなさんから『い草の香りが良い』、『和室で落ち着き癒される』などの声をいただきますので、この仕事を選んで間違いがなかったと思っています。」
-畳のことを教えていただけますか。
「畳表は、九州熊本県から取り寄せしています。国産物になれば、全国でも90数パーセントが熊本産に、私も3年程前には組合から生産農家さんの所へ見学に行きました。畳表には、生産者さんの押印がされていますので、私が気に入った生産者さんのい草を仕入れ、 お客様にも見て、触って、納得していただいた品をご提案させていただいております。
い草は、全国で出回っている畳表の中で中国産が多い中9割を国内産にしています。やはり後々のことを考えて国内産のい草をすすめています。
畳床も時代と共に開発され、発砲スチロ-ルとボ-ドで出来た畳床が主流で、重さも従来の藁床に比べ3分の1に女性の方でも持っていただける重さに・・・・・持っていただくと 『エッ・・・!』 と驚かれる程になっています。
ヘリも、昔は種類が少なかったのですが、現在はクロスの色が豊富で、それに伴い考案され色々なへりがでてきますね。
畳は、日本の文化であり、日本独特のものなのにMADE IN JAPANで作らないものはおかしいのではないかと思い、これをモット-に作らせていただいております。」
-畳のサイズは決まってますよね?
「私達は、本間、五八間(マンション用)と言っていますが、畳のサイズは1枚ずつ違います。同じ和室でも大工さんの作り方や木の特色もありまして、同じ6畳の部屋続きで畳も同じだろうと思いますが微妙にサイズが違ってきます。この部屋にはこの部屋のサイズでというように作ります。畳の表替えを行う場合でも、パズルのように元の位置に置かないとぴったり合わないんですよ。だから作り置きも出来ませんね。」
-畳は、注文が入りますと製品になるまでどれ位かかりますか?
「現在は物流が良くなって来ていますので、畳表熊本からすぐに入ります。お電話を頂き、お客様のお宅へ寸法を測りに伺って4.5日で、ただ藁床は受注生産になっていますので少し日にちが掛かります。
お住まいのお宅での畳替えですが朝畳をめくりお預かりしますと(荷物の移動を含め)寝るところが無いと心配されないように、夕方にはお届けさせていただいております。」
-そんなに早くしていただけるのですか。お客様は喜ばれるでしょうね。また、お店には機械が2台有りますがどの様な作業をするのですか。
「い草(畳表)をサイズに切って畳表を張って逢着させる機械と、畳にヘリを付ける機械になります。」
-畳替えは新畳、表替え、裏返しなどとありますが。
「そうですねお客様のご希望と、現状を見たうえで経験と感覚で提案しております。へりを外して裏返しができる状態でしたら裏返しを、裏返しが出来無いことはない状態で作業をしても、すぐにささくれだったり、傷んだりすると思いますと表替えを提案させて頂いたり、畳床も同じですね。足で踏んで傷んでいるなぁと思いますと、畳の裏を見ると何年位使用されているか解りますので・・・・・より良い方向性に。
お客様とは長いお付き合いをさせていただきたいと思っていますので、ライフスタイルや和室の使用目的などをお伺いしニ-ズにあった畳替えをご提案提供と考えております。」
-畳の入れ替えは、良い時期がありますか。
「一番良い時期は、9月中頃ですね。天然のい草は湿気を吸ったり吐いたりして呼吸していますので、湿気の少ない時期を選んで替えていただければお手入れもしやすいですね。」
-私達が心配している畳のカビやダニ対策はどうすればよろしいでしょうか。
「締め切りの多いお家では、空気の循環が出来なく湿気の多い時期は上手に管理するのが難しいと思うのですが、クーラ-をつけたり、扇風機を回して空気の循環を良くしていただくとによりカビが生えにくいということもあります。
当店では、最近導入したのが畳乾燥機です。(前工場に設置)釜の中に60℃~70℃の温風で2~3時間入れますと、畳床の芯まで熱が入り殺菌処理ができます。どうしても昔の藁床で卵を産み付けてそれがふ化して出てきたなどの声をいただきましたので乾燥機を入れました。
畳が湿っているような感じがする、アレルギ-が気になる、なんとなくカビ臭く感じるけれど畳替えにはまだ新しいというかたもお気軽にご相談いただければと思っています。」
-畳乾燥機初めて聞きましたね。殺菌処理で赤ちゃんにも安心ですね。ところで最近、縁の無いカラ-の畳を見ましたが。
「今、いろんなカラ-の畳表の種類が有りまして、これがダイケン工業さんから出ています。
この畳は撥水するんですよ!! 和紙を紙縒りにして色付けされているのですが、2時間程この状態で大丈夫拭くだけで綺麗になります。(汚れはお早めに)この他に、ダニ、カビの発生はい草に比べ少なく、仏壇の線香を落としても焦げにくい、畳表のささくれが少なく、変色(畳やけ)も少ない良質の畳表が開発されています。
若いお客様はハウスメーカ-さんで、デザイン性のヘリのない畳や、カラ-の畳等を見てこられ相談に来てくれます。『こんなの無いかなぁ?食事の後ゆっくりくつろげる空間が欲しい・・・・と。』 癒しの空間を作られました。
私達は、デザイン性を求められる若い方や従来の天然物を求められる方、お客様のニ-ズに合う品を、いろんな所に見に行き研究して行かないといけないと思っています。」
-お商売をしていて一番大切にしていることは?
「仕事はきっちりと、最後にはお客様の笑顔が見られることを楽しみでさせていただいております。五條の方々に可愛がっていただけるのはもちろん有り難いですし、ここを基本として大工さん、工務店さんとの繋がりの仕事をいただけると有り難いと思います。」
-このテ-ブル畳ですよね。
「はい、父親が好きで。このテ-ブルは、職人仲間の建具屋さんに作っていただきました。『お客様が来られて商談する応接間を作りたい、こんなテ-ブルが欲しい。』と言いますと、 職人仲間が集まって相談し・・・・出来上がります。この市松模様の畳表の衝立も、釣り竿作りをされていた方と、相談して竹から取りに行き寸法を測って・・・出来ました。父親の年代は職人さんが大勢いますね。」
-合格証書ですね。
「県と市の仕事が出来る技能士2級合格証書です。現在は機械作業が主流になっていますが、これは一から手作業で作るんですよ。試験に向けて練習して、資格を取りました。」
-五條でお商売されていて良かったこと、また反対に困ったことはありますか。
「良いところは、都会には無い自然と人の温かさと日本の文化であって喜んでいただけることが有り難いですね。反対に 困っているところは人口が減少して和室離れで需要が少なくなってきているところです。」
-これからどの様にお商売を続けていきたいですか。
「地元で愛されていくのは勿論ですが、その中でお客様にも、職人仲間にも横の繋がりを取って仲良く職人同士での仕事の渡しあいをするなど、職人は少なくなって来ていますが少ない中でも和を作れると良いなぁと思っています。」
-本日はありがとうございました。
店 名 西出タタミ店
住 所 五條市二見3丁目9-9
TEL 0747-25-0015
営業時間 8:00~18:00
定休日 日曜日
駐車場 有
私たちにとって畳の香りはリラックスさせ落ち着かせてくれます。また、懐かしさも感じます。夏の日に畳の上でゴロリとするだけで涼しくなり、冬は、暖かく保温性に優れています。自然の除湿、加湿器のように部屋の湿度や温度を調整する畳、一畳で500ccもの水分を吸収するらしいですよ。フロ-リングの洋室もいいですが、和室(畳)ならではの良さを忘れずにお手入も忘れずに長く付き合っていきたいと思います。