第6回 パティスリ- クリアン 田中千佳代さん 

“現実を忘れさせてくれる”そういう空間を大切にしています。

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五條市の北部閑静な住宅街、季節のお花が綺麗に咲いています道路沿いに店舗を構える、パティスリ- クリアンさん ドアを開けますと落ち着いた雰囲気の店内、素敵なマダム田中千佳代さんに迎えていただきました。

 

—マダムさんが、パティシエになったきっかけを教えていただけますか。

「私は料理が好きで、10代の頃から料理教室に長い間通い趣味にしていたのですが、ある頃から自分を見つめ直そうと思い1年間に渡りいろんな事を考え・・・そして最後に残りましたのがケ-キ作りでした。
それから、一から163ちゃんと教わろうとプロの先生、ホテルのシェフに付いて学んでいるうち、勉強するなら日本には、日本の文化や和菓子があるように、フランスにも伝統的なお菓子や文化があるのだろうと・・・ フランスで勉強したいと思ったのですよね。
そこでお金を貯める為ケ-キ屋さんのバイトを探していると、ちょうど八木で主人(シェフ)のお店(クリアン)がオ-プンしたところで、働かせてもらって(弟子入り?)フランスへ・・・。
フランスでは、言葉も解らないまま学校に入り、そのことばかりに一生懸命打ち込んでいました。
その後シェフが、パティシエとして受け入れてくれましたので一生懸命働いていたのですが、一度違うこともと思って、料理屋さんのデザ-トを作らせていただいたり、自分で桜井市多武峰の麓に焼き菓子の工房を持ったりと・・・していました。 そして結婚を機会にパティシエからマダム業へと変わりました。」

-田園にお店を移転されましたね。

  「最初は、八木でケーキ店を営んでいましたが、DSC00137お茶を飲んでいただけるような所に移りたいと思って・・・橿原や奈良市内など色々回ったのですが御縁が無く・・・ここは、実家の父が持っていた土地で自由に使っていいよと・・・と言う事で11年前になります。」

-人気のお菓子の特徴を教えていただけますか。

「季節によっても色々ありますが、生菓子は、DSC00133モンブランや和栗の品が人気ありますね。生クリ-ムは添加物の入っていない品を使用しています。 お客さまで、『うちの子、生クリ-ム嫌いなんだけど、クリアンさんのは食べられるねん。』と言って下さる方もいらっしゃいます。無添加ですとリスクもありますがやっぱり、出来るだけ体に良い物ですね。

173そして、タルト生地に五條産の小麦粉を使ってタルトを焼いています。勿論他の小麦粉よりお値段は高いのですが、まず添加物が入っていないことや香ばしいなどから・・・・ありがたいですね。
いちごも五條産。新鮮な地元の物や、お隣和歌山のフル-ツを使っています。 地元の柿ですが、リンゴのタタンというタルトケ-キがあります。 リンゴを使って焼くのですが、柿で試して、温度を入れると生臭かったり、えぐみがでたり、キャラメリゼをすると(砂糖を使って焼き付かせること)茶色くなったりと・・・。柿農家のお父さんに協力して頂き何種類もの柿で試行錯誤、164やっと昨年完成させました。これは都会の方に興味をもっていただきましたね。

焼き菓子は、バタ-が無いとよく言われていますが、やっぱりバタ-を使って焼かないと・・・・。無いのだったら焼かないで・・・と思っています。焼き菓子は、物凄く人気があります。DSC00136

涼しい季節には、キャンディやショコラも手作りします。ショコラは、お店で作る品と、フランス、イタリアから取り寄せている品物もあります。」

 

-紅茶やコ-ヒ-にもこだわりがあるのですか。 

「紅茶は、フランスから。やはり茶葉を合わせる人に無添加の品(全てでは無いと思うのですが)を送っていただいています。DSC00149
コ-ヒ-は、この前から映画になった、石川県能登半島に珈琲豆の焙煎士の女の子がいる二三味珈琲さんです。 今から15年程前、私はコ-ヒ-が好きで取り寄せしていたのですが、それから後この焙煎士さんの記事を読み感動をしまして、パティシエをやっていたから、きっと生クリ-ムに合う美味しいコ-ヒ-を入れるだろう!と思ったのです。女の直感ですね。(笑)そしたら美味しくて!!
映画『さいはてにて』のモデルになった焙煎士さんのそんなコ-ヒ-です。 このコ-ヒ-をブログで紹介しますと、紅茶党の方が、コ-ヒ-を飲みたいと・・・不思議ですね。映画やテレビの影響ってすごいですね。でもやっぱり材料ですよね。」

 

-お商売をしていて一番大切にしている事を教えて頂けますか。

  「お客さまですね。友達も言って下さるのですが『現実を忘れさせてくれ167』と・・・そういう空間を大切に、また作れるように、お花を絶えさないように大事にしています。お客様(喫茶の方)も思っている以上に、『ホッとするんです。』と言って下さいます。
それから、パティシエの体調や精神状態を常にチェックDSC00150しています。パッと見てあれ何か?・・・・・ また自分達もそうだったように、土・日曜日に休日が欲しいこともありますよね、私たちはダメだと解っていても、そういう事も取り入れてあげようと思って・・・
その代り物凄くお願いしているところもあります。出来るだけ彼女たちの環境を大切にしています。そういう事はとても大事だと思っていますね。」

 

-五條でお商売をして困ったこと、良かったことなどありますか。

  「田園に移転して良かったです。最初お客さまは、“どんなんかなぁ?食べてみよう!”という感じだったのですが、そのうち、165田園の方々も他から来られた方もおられますし、元々八木のお店で出なかった渋い商品やコンフィズリ-やピティピエ(マロンパイ)などを並べますと買って下さるようになりましたし、土曜日、日曜日になりますと、この道(山麓線)を利用して、神戸、大阪、京都、和歌山の遠方から、また『懐かしいです』と橿原からお客さまが訪ねてくれます。
こちらへ転居する頃からも『田園って、ちょこちょこと隠れ家的なお店が在るでしょ。』とおっしゃる方もいましたし、なんとなくそういう風に伝わっていたようですよ。」

 

-これからの夢を聞かせて下さい。

  「より一層偏ってきました。私たちは、歳を重ねていきますが、精神年齢は止まったままですよね、そのまんまなんです。24才ですか?(笑) 物を見て来ているし、食べて来ているし、色々な経験を積んで来ているので、ちょっと大人の女の人が喜んでくれそうな物づくりや空間づくりをしていきたいと思っています。大人の人に喜んでいただけるような可愛さですね、私も興味があり好きなんです。 あえて、年齢のタ-ゲットを上げてより一層凝縮した感じにしたいですね。 お母さまのケ-キを作りに来ました。というような流れがあると、もっと嬉しい感じですね。」

 

-本日はありがとうございました。 

 

店名   パティスリ- クリアン
住所   五條市田園4-1-5
TEL  0747-26-2330
営業時間 10:00~18:30
定休日  水曜日
駐車場  有

パティスリ-クリアンさんのHPはこちら

毎日忙しく生活している中、嬉しい時、楽しい時は勿論、落ち込んだ時も疲れた時もあります。そんな時はケーキを食べて、コ-ヒ-を飲んで、一息できる空間を持てるのは嬉しいものですね。 そして、美味しい物を食べていると自然と顔がほころび幸せを感じます。 お土産や子供達のバースデ-ケ-キもそうですよね。人と人を結ぶ人を幸せにしてくれる大切なものです。