お二人の幸せを願いお手伝いを・・・お役に立てることが嬉しいです。
国道24号線沿いにお店を構えます紙定結納店さま お店の自動ドアが開きますと伝統的な結納品の品々が並びます。身が引き締まる思いで声を掛けますと、優しい声で店主さんに迎えていただきました。
-紙定結納店様の創業を教えていただけますか。
「雑貨を扱う商店として商励会通りに開業したのが、明治2年です。 初期の結納品(紙縒の水引で金封を折った袋)や、ビール、お線香やロ-ソク、柿渋で作ったカルトンなどを十津川や野迫川に卸しにも行っていたようですが・・・(私も嫁いで来たので詳しくは解らないのですが)時代の変化と共に戦後、結納専門店として営業し平成7年5月に新町1丁目8-10へ店舗を移転し現在に至っています。」
-屋号の由来を教えていただけますか。
「暖簾分けですね。初代の方の名前が定一さん、屋号の紙を頂きまして『紙定』と聞いております。」
-伝統文化の結納について教えていただけますか。
「結納品は、けじめとして男性側の息子さんの伴侶となる女性をここまで立派に育てて頂いた女性側の親御さんに対して感謝の気持ちを表して納める大切なものです。 最近は、人口が減っていますし、恋愛されますので納められる方が少なくなっていますし、学生の頃から都会へ出て恋愛されますと、相手さんの実家が遠いからということ等から納めない方が増えていますね。」
-でも、結納品を納める方もいらっしゃいますよね。
「以前の様な仲人さんがおられて納める結納は無いようですね。結婚式の招待状も○○家○○さんの長男、○○家○○さんの長女、○○夫妻媒酌人と書いてありましたよね。みんな親元が何もかもしてくれましたが、現在は、ご本人さん重視の本人さんのお名前で届くのと違いますか。けじめとして感謝の気持ちで納めていた結納ですが、意味が解らないまま要らない物は止めときましょう・・・。と若い人の意見が強くなって来ているのでしょうね。お荷物もないでしょ、住宅事情も変わってクロ-ゼットが有りますよね。着物もほとんど着なくなりましたし、(私達の頃から箪笥の肥やしになっていますが・・・・・。)着付けも私達の頃は習いに行きましたし、お茶、お華も基礎的な事を習い、みんなお嫁入り道具でしたよね。その頃は、『初心者ですので安価なお道具下さい。』とお茶の道具も買い求められる方もいましたね。結婚式当日も男性の家の仏様をお参りして、式場へ角隠しと打掛を着られて・・・・・時代に合わせて変わって来たのだと思います。
最近はホテルなどの会場を設け両家で集まり食事会を・・・結納式をされるというケ-スが多いようですね。明日も、ホテルで結納式をされますので結納品を贈らせてもらいます。形や品物も変わって来ていますが、結納品を交換されていますね。
家と家の繋がり感謝の気持ちでされていたのですが・・・・・趣旨が全く変わって来ているから致し方ないと思うのですが、やっぱり結納は納めて欲しいですね。」
-結納品にも理由がありますね。
「結納品には、長き歴史と大切な思いが込められています。 『美しく舞う鶴のように 亀の寿命に願をかけ 変わらぬ松のみどり すくすく伸びる竹の如く 香りゆかしき白梅をそえ永遠の愛をこめて贈ります。どうぞ幾久しく納め下さい。』と・・・
鶴は夫婦愛の象徴。亀は長寿と健康。松は年中の緑を保つ弥栄。竹は真っ直ぐな成長を祝います。梅は厳しい寒さに耐え春に先駆けて美しい花を咲かせ実を結ぶ事を祝い。高砂人形は共に白髪の生えるまで仲良く添い遂げるようにと。寿留女(するめ)は、剣先の烏賊を付けるのですが噛めば噛むほど味が出るので、良いお嫁さんになって下さいと。子生婦(こんぶ)は、子宝に恵まれますようにと願っています。」
-お商売を通じて嬉しかったことはありますか。
「『紙定さん、お世話になりました。お陰様で無事終わりました。』、『結納品、相手方さん喜んでくれました。』とお礼に来て下さる方や、お電話を下さる方、道やス-パ-でお出会いすると『紙定さん、孫ができまして幸せにしていますよ。』とお声を掛けてくれる方がいます。 自分の事の様に嬉しいですね。結納は、幸せになって頂くお手伝いをする結婚の最初のセレモニ-ですからね・・・・・。ホッとしますね。幸せで良かったなぁ。お役に立てたという事が嬉しいですね。
最近は、結納品を買い求めに来て下さる方が、以前納めさせていただいた子供さんが来られます。当時は、地図を見て一生懸命お届けしたことを覚えていますので・・・家族の繋がりですか嬉しいですね。」
-お話を伺っていると嬉しくなりますね。反対に困っていることはありますか。
「私達は、先代さんからの教えをお伝えするのですが、最近は、本やインタ-ネットの影響が強いですよね。袋1つでも『そこには、そう書いてあったよ。』と・・・・・・ 地方には習慣、風習などの特色が有りますよね。本などには全国的な都会を中心に載っていると思うのですが・・・。奈良県、大和だけのこだわり、和歌山のこだわりを説明するのですが、年に数回伝わらない事があります。土地が変わると品変わる・・・と、正式にお伝えしたい事が伝わらないことがあって困っています。
結婚式のお祝儀には夫婦紙(半紙半帖)を付けてお祝いをします。奈良県と和歌山県の習慣ですね。壱百萬円だから付ける、五千円だから付け無いと金額に関係なくて『代々続きますように・・・、ますます繁盛しますように・・・』という理由で結婚、棟上げ、出産の3つのお祝いに・・・。新築や開店祝いには付けませんね。お年寄りの方は、『半紙下さい。』『台下さい。』と買い求められます。 若い方は半紙を貰っても使わないから・・・と、またそうなって来ていますしね。京都や大阪はこの様な習慣は無いようですね。」
-お祝儀袋も種類が沢山ありますね。また、先程のお買い上げのお客様のように代書されるのですか。
「結婚・出産の祝儀袋も男性用、女性用と共にもカラフルになってきていますね。先代の頃からお祝儀袋購入ご希望の方には、サービスで代書しています。始めた頃は字体を見て『こんなん・・・。』と聞いたこともありましたね。」
-お祝儀袋の代書をして頂けるから紙定さんで購入をと思っているお客様も大勢いらっしゃるでしょうね。また、水引で飾りを作っているところをお見かけしたのですが。
「これらの結納品は仕入れていますが、嫁いで来た当初は、水引で作っていましたし習っていました。母が、教えてあげると・・・少しずつ知らなかった事を、今まで触ったことが無かった鶴や、亀が出来ると楽しいですし・・。
お花や兜を作って講習会をしていた頃も在りました。 キーホルダ-なども作って、かげろう座に出店しこともありましたが手が回ら無くなり止めました。 この箸置き涼しげでしょう。水引を四つ網で編むだけなので簡単に出来ます。ちょこちょこと作って置いといて、お客様に差し上げたりしています。お正月には紅白や金銀の水引で作るとまた綺麗ですよ。
現在は、お正月の角松に飾る鶴や梅花があります。ちょこっと付いているのですが知りませんか?今度よく見て下さいね(笑)、そんな梅花の飾りを水引で9月頃から作り始め3~4千個程を納めています。」
-小物も沢山ありますね。
「お客様が、『こんな品物欲しいねん。』と聞いて下さる方がおられて、私も好きなもので・・・・。京都の有名店から、鞄や風鈴、風呂敷などの小物を仕入れています。
風呂敷は、昔と全く違ってテ-ブルクロスやスカ-フにも使える洒落た品物に・・・勿論ちりめんの風呂敷もご用意させて頂いております。 時には、お孫さんの1歳の誕生日を祝う一升餅を背負わせる時に使用する風呂敷置いてませんか?唐草模様の風呂敷ありませんか?と買い求めに来られます。 風呂敷は、幸せを包み込むといわれご近所の御挨拶回りに配ったりしたものですよ。」
-お商売をしている中で一番大切にしていることは。
「この商売は、縁談が整い不安や疑問でご相談に来られるお客様がほとんどです。伝統的な教えと時代の変化に合った知識で十分納得、満足して頂けるようにと・・・心がけています。 最近では子供達も結婚しましたので、ある程度お客様のお気持ちが解りますので・・・・信用して頂けるように、お役に立てるように・・・・・と思っています。」
-これからどの様にお商売をして行きたいですか。
「今までの通りに、ご相談に来られるお客様のお役に立てることが出来ますように、およろこびも そうでない時も 人生の節目にお役に立つ 小さいけれど大事な店 そんな店になりたいと願って・・続けていきたいと思っています。」
-本日はありがとうございました。
店名 紙定結納店
住所 五條市新町1丁目8-10
TEL 0747-22-2426
営業時間 午前9:00~午後7:00
定休日 木曜日
駐車場 有
お話を伺っていますと「一升餅のお祝い」と・・・聞き覚えのある言葉を、子供達の1才の誕生日、母が一升餅でお祝をしてくれた事を思い出しました。 何時の頃から始められたのでしょうか?(1才の誕生日を迎えた子供を祝うため一升のお米を使って作るおもちの事で、一生食べ物に困らないように、これから一生健やかにと願いを込めて子供の成長を祝うお祝いです。)お陰様で子供達は、すくすくと成長し続けています(笑)。 慶弔事は、地域や年代によってルールが様々で難しいですが、相談に乗っていただけるお店が身近の在ることは心強いことです。