やりたいと思ったらとりあえず「やる」
失敗も多かったけど、得たもの学んだものはそれ以上。
五條市田園にあります生パスタのお店「キッタラ」の岩永博美さん。昨年度からは「みずたまクレープ」としてイベントなどでの移動販売も始められました。
起業のきっかけ、開店にまつわるエピソードなど聞かせていただきました。
―キッタラを開店したきっかけを教えてください。
もともと、飲食店、喫茶店とかしたいなっていうのが昔からあったんです。
それで友達に一緒にお店しない?って誘われたのがきっかけでした。結局友達は仕事が忙しくなってしまって、私ひとりでするかたちになったんです。
―お店を始める前は何をされてたんですか?
介護施設で働いていました。
―介護のお仕事から飲食業への転身されたということですね。
はい。でも調理師免許は持っていたんです。
―それは飲食店開業に向けての準備として取得されたということですか?
いえ、介護施設で働く前に保育園で働いてた時代があったんです。そこで、調理の方も手伝ったりしてました。そのときに、「調理師免許とったらどう?」って言われて・・・。「あ、じゃぁ取ります」みたいな感じで・・・。
―パスタのお店にしようと思ったのは?また、店名「キッタラ」について聞かせてください。
最初はカフェをメインにしたお店にしようと思ってたんですけど、その当時、パスタを教えてもらう機会がたまたまありまして・・・。それに自分もパスタ好きっていうのもあってパスタのお店にしました。
店名は、パスタには種類がたくさんあって、タリアテッレ、リングイネ等・・・そのひとつが「キッタラ」なんです。麺の名前を見ていたとき、「キッタラ」の響きが気に入ってすぐにこれだって思って決めました。
―この場所での開店の経緯は?開店して何年ですか?
カフェしたいなって思ってから、住宅付店舗を探してた時、この物件と出会いました。実家も近くてとても気に入って決めました。開店して5年です。
―どんなイメージのお店にしたいとかありましたか?いろんなお店見に行ったりとか?
イタリアンとかパスタとか、ちょっと敷居が高いようなイメージあるんですけど、気軽に来てもらえるようなアットホームな感じのお店を目指してやってます。子供さん連れでも気兼ねなくきていただけるように個室もあります。
お店は結構見に行きましたね。 雰囲気とか接客とかメニューとか・・・。いいなって思うことを取りいれたりしています。
―では「キッタラ」の特徴について教えてください。
麺もソースも、パンのバターも結構種類があって「選べる楽しさ」っていうのが特徴です。
生パスタは7種類、ソースは10種類、バケットに塗るバターもアンチョビ、ガーリック、メイプル、明太子・・・10種類以上の中から選らんでもらえるようになっています。
―なぜそのスタイルにしようと思ったんですか?
女性って「選ぶ」のがすごく好きじゃないですか・・・迷うのも楽しいし、どれにしようかなって悩んでもらえるような感じにしたいなって思ったんです。
―オープン当初からこのスタイルですか?
はい、ちょっとずつ期間限定のものなんかも入れたりしているうちにパンのバターの種類もだんだん増えてきたりしてます。
―私は冒険心がなくて、迷った挙句、結局いつも同じものを注文してしまうタイプなんですけど・・・
結構そういうお客様も多いですよ笑。トマトバジルが好きな人はやっぱりいつもトマトバジルご注文いただきますし笑。でも具材はその日によって違いますので、そこで変化を楽しんでもらえますしね。
←私はいつもホワイトソース 😛
―「生パスタ」にした訳は?
試食でいろいろな麺を食べた中で生麺っていうのはやっぱりすごくもちもちしていて・・・。乾麺には乾麺の美味しさがあるんですけど、自分が生麺に魅かれてしまったっていうのが一番ですかね。それでお店では生パスタでいきたいなって思ったんです。
―サラダ、パスタ、バケット、デザートがランチセットだそうですが、このスタイルも最初からですか?
はい。バケットを出してるお店はあるんですけど、焼き立てを出したいっていうのがあって・・・。パスタにバケットに・・・となるとボリュームもあって、ちょっと女性の方には多めかもしれないんですけど、もう残してもいいからお腹いっぱい食べていただきたいっていうのがあるんです。
―デザートも手作りですか?
はい。お菓子作りは昔から好きだったんです。まだまだ勉強しながらですけどできる範囲で手作りで出させてもらってます。毎日朝から、ケーキ焼いてます。
―パスタ以外にドリアもあるんですね。考案中のメニュー、企画などありますか?はい、ピザランチもありますよ。あ、ソフトクリームも今日から始めたんで!!ワッフルはしたいなって思って機械買ってあるんですけど、なかなか手回らなくて・・また、追々♪
―営業時間は現在お昼のみですか?夜の営業をされるご予定は?
はい、11:00~16:30です。子供が落ちついてきたら、夜も開けたいなって思ってるんですけど、昼も夜もってなると、家の事何もできなくなってしまうんで、まだ、今は無理ですね。
―やはり女性のお客様が多いですか?
そうですね、女性のお客様多いですね。住宅街ということもあり、主婦の方も結構きてくださってありがたいですね。ですけど、土日になるとご夫婦でのご来店も多いので、割と男性客の方も来ていただいてますよ。
―やっぱり、お若い方が多いですか?
いえ、そうでもないんですよ。結構年配の方もパスタ食べに来てくださって。でもちょっと量多いかなって・・・
やりたかったお店。だけど正直「勢い」もあった・・・
1年ほどたってから、じわじわ出てきたんです・・・「こわさ」っていうんでしょうか・・・不安や大変さ、そして「やりがい」
―したかったお店の実現から5年。いかがですか?
最初の頃はやっぱりすごく不安で不安で・・・
オープン直後はまだお店を知ってくれてる人も少なく、初日で4人。それが8人に・・・10人に・・・って感じで増えてきて・・・。それで一回チラシを入れたんです。その時わーっと一気に来てくださって。フロアに1名、厨房に私と計2名でやってるんで、対応できないくらいになってしまって正直大変でした。
やっぱり私も慣れてない、バイトの子も慣れてないってこともあったんだと思います。分からないまま何とかやって来たって感じですかね。
―お話しをしているととてもほんわりとした優しいイメージの岩永さんなんですが、起業のパワーはどこからですか?
いえいえ、友達にもぼーっとしてるってよくいわれるんです笑笑
お店しようと思った時は割と簡単に考えてて、オープンしてから経費のこと税金のこととか色々分かってきて、1年目くらいで、「こわっ(汗)」てなって笑
でも、自分で何かしたいっていうのは昔から思ってて、ただ漠然となんかしたいなって。で、あかんかったら、実家近いし、すぐ戻ろうって思ってました笑。借金してまでしたくないっていうのがありましたし、結構気軽な感じで始めたのは始めたんです、勢いもあって笑
―岩永さんは、何だか私が思う「理想的なお母さん」のイメージです!
優しく包み込んでくれそうな・・・。ガミガミ怒ったりしないんでしょうね笑??
いや、もう怒ってもきかないし、子供達は何でも自分でしてくれるから、逆に放ったらかしで申し訳ない感じですよ笑
いやいやいやいや・・・私なんて子供たちにたまに「鬼」て呼ばれてますから笑
余談でした笑・・・質問に戻りまして・・・
―開店から現在まで・・・乗り越えてきた壁は?
お客さんの波ってやっぱりあるんで、お客さんが減ったりすると、何か新しいこと考えたり取りいれたりってことですかね。
近所に新しいお店がオープンしたりすると、正直不安になったりしましたね。
でも、自分は、自分のできることを精一杯、自分らしく・・・と思ってやってきました。
―得たものは?
お客様とのふれあい、また来るよって言ってもらえたときの「やりがい」ですね。
―表に停まっているかわいい車。移動クレープ販売をされてるそうですが、それはいつからですか?
1年くらい前ですかね。クレープもやっぱり昔から興味があって、覚えたいなっていうのはあったんですけど、ちょっとお客さんが減ったときに何か新しいことしないといけないなっていう思いがきっかけというか、それで習いにいきまして。今となったら、自分もクレープ焼いて楽しいし、イベントなんかに出店するのもとても楽しくて大好きなんです。
―「移動クレープ販売」にしたのはなぜですか?
なんか、あのかわいい車に魅かれたというか笑 それに、イベントごとって何か楽しそうっていうのがあって笑 あんなかわいい車でイベントに参加して、クレープ売ったりしたいなってずっと思ってたんです。丁度今から一年前に初めてイベント出店させてもらったんです。吉野山でのイベントでした。
―「キッタラ号」って勝手に呼んでおりました(汗)あのかわいい販売車。正式名は?
「みずたまクレープ」です。結構横文字のオシャレな名前とか、かっこいいなとも思ったんですけど、とりあえず覚えやすい名前で、誰が見てもすぐ読めるような名前でってことで。単純なんですけどね。
―どれくらいのペースで、またどんなところに出店されてますか?
ネットで調べると移動販売募集とかあって、そういうので探して出店したりとか、あとお客さんから紹介いただいたりして出させてもらってます。
お店の営業(キッタラ)もあるのでしょっちゅうもいけないんです。
お店休んでいくことになるので、月に1~2回行けたらいいなって思っています。
クレープの方を任せる人がいてたらいいんですけど、まだそこまでは・・・
バイトの子もほぼ全部やってくれるんですけど、やっぱり、まだひとりじゃ不安っていうのもあるので、徐々にまた考えていきたいですね。慣れてもらって行ってもらえたら、幅も広がっていいんじゃないかなって思っています。
―イベントに参加していかがですか?
そうですね・・・何回かイベントなどに行かせてもらううちに、同じ移動クレープ販売の方と知り合うこともあって、コラボしようみたいなかたちで呼んでくださったりとか、どこかでイベントあるときに、うちは行けないけど、よかったら行きませんか?って声かけてくれたりとかもあって・・・。交流やつながりができてほんとうれしいです。
―同業者同志、ライバルではなくシェアしたりコラボしたり。素敵ですね。
クレープはお店でも食べれるんですよね♪でもこのボリュームたっぷりのパスタランチの後だとさすがにクレープを頼まれる方はいないのでは?
いますいます笑!ランチが終わってお話が弾んで何時間も経つと、ちょっとお腹減ってくるんですよね笑 その時ご注文いただいてます。11時から17時までやってるので、時間を気にせず楽しんでいただけます。
スイーツは別腹ですしね笑。
―定休日に「ハーバリウム教室」というのをされてるとか・・・?
あれは、私がたまたま友達に誘ってもらって習いに行ったのがきっかけで。1回体験で行ったのが楽しくて・・・先生が4人集めたらお店に来てくれるって言ってくれたんです。お客さんの中にもしてみたいっていう方がいらして、4人集まったんで来てもらったんです。またしたいなって思っています。
―定休日は何されてますか?
ゆっくりしてる時もあるし、友達と遊びに行ったりですね。
まぁ、仕事の買い物と兼ねてってこともありますけどね。
やってみたいと思ったら即実行 あかんかったら即中止
家族はいつもヒヤヒヤです笑
―開店から、今までのお話しを伺った中で、なかなかしたいことを行動にうつすっていうのは難しいかと思う反面、岩永さんはすぐ行動されるってすごいですね。思いつき、インスピレーションのようなものあるんですか?
あぁありますね、これやってみよう!っていう思いつきが。で、思いついたらすぐ行動にうつすみたいなとこ。やらないと気が済まないたち。その分失敗も多いんですけど笑笑 で、あかんかったらすぐやめるみたいな笑 あとさき考えないんですよね・・・
―でもやっぱりそんな感じに見えない・です・・笑
ぼーっとしてるってよく言われるんで笑―いえいえ、やんわり、ふんわりした雰囲気で、私には絶対持ち合わせてないところです笑 うちの子供達が私に求めてる部分です笑
もうほんとやらんと気が済まないタイプなんですよね。だからもう子供達はいつもひやひやっていうか。仕事辞めた時も、介護の仕事はやはり安定してましたし、それを辞めて、「辞めてん」っていったら「え!何で辞めたん!!」って。
―え?!「事後報告」ですか?
ハイ・・・
仕事を辞めてから
「お母さん、喫茶店しよと思うねん・・・」って言ったら
「なに考えてるん!」って。「たいした経験もないのに!」って・・・笑
―まぁ、普通はそうなりますわね笑
だから自分の親にも言い出せなくてね・・・
仕事辞めてだいぶ経ってから言いましたね。
―でも正解だったという結果が今ここにありますね
まだまだ、これからです・・・
―近い将来、実現したいこと、目標などは?
とにかく店を継続すること。それが開店時からの目標でしたので。だから無理しないで、長く続けることが目標です。大きくすると、手も回らなくなる・・・だから今の状態を続けていけたらなって思ってます。
―岩永さんにとって「私にしかできないこと」または、いつもこころがけてることって何でしょうか?
例えば嫌いな具材があったら交換させてもらったり、レンジであっためてって言われたら温めたり、極力お客様に添えるように仕事をしているつもりです。それは忙しくても続けていきたいと思っています。とにかく笑顔で帰ってもらえるようにって思っています。忙しくなってくると私自身が険しい顔になってくることもあるんですけど、なるべく気持ちよく帰っていただけるように心がけたいと思っています。
―最後に
最近地域活動によんでいただいたりする機会が増えてきたんですけど、それがすごく勉強になってたくさんの地元の人たちとのつながりもできてうれしいんです。これからも、自分にできることを自分らしく、お店を続けていけたらなって思います。
chitarra~キッタラ~
住 所 | 五條市田園4丁目9-3 |
電 話 | 050-1319-9323 |
営業時間 | 11:00~17:00(L.O.14:00) |
定休日 | 水曜日 |
駐車場 | 有 |
岩永さん、本日はありがとうございました。
スタッフHのすぽっとwrite☆
癒されました 。岩永さんから出る、何ていうんでしょう・・・優しいオーラというか、雰囲気に。なのに、すごいパワーをお持ちで・・・。
インタビューを終えたその日は・・・その日くらいは・・・私も岩永さん効果で優しい母になれそうな気がした・・・だけだったようで、ついつい出てしまう小言から、いつもの母VS娘 口げんかに 😕
きっと、そんな時「鬼の形相」になってるんでしょうね・・・
だけど、先日の(だいぶアピールした)母の日に、ドーナツを買ってきてくれた娘に、スタッフH「鬼の目にも涙」?でした。