第23回 お好みハウスわらべ 岡部 紀美子さん

 

「また行きたい また食べたい」そう思ってもらえるお店に

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―お店を始められたきっかけを教えてください。

長年営んできたタクシー業を辞め家でじっとしてるのもなぁ・・・と思い、主人と2人で喫茶店でも始めようかと考えましたが、気軽に食べに来てもらえるお好み焼き屋にしようと思ったのがはじまりです。

―それから開店までの道のりは?

同じするなら、「お好み焼き」をちゃんと知りたい、習いたい、大げさかもしれませんが真髄を極めないと・・・と思ったんです。
一口に「お好み焼き」といっても、大阪のお好み焼き、広島焼き、生地やソース、混ぜ方、焼き方、きっといろいろあるはず・・・何で大阪のお好み焼きは美味しいのか?人気があるのか?広島焼きってどんなものか?とにかく色々知りたくて、調べたり食べに行ったりしました。
そんな中、主人の知り合いを通じて、元々五條で喫茶店などを経営されてた方が大阪梅田でプロの料理人を育てる学校をしているというのを聞き、そこに通うことになったんです。

―梅田まで通われたんですか?

はい。ですが丁度その頃、知り合いの方の会社で事務員で働かせてもらうことになって・・・。勤めながら週に1度のペースで2年間通いました。学校の日は朝9時半から夜8時半まで、いろんなコースの講義を受けました。
学校へ行くと、五條からよく来てくれたと歓迎してくださって、名店など食べに連れて行ってもらった思い出があります。

―働きながら2年間も学校に通うのは大変なこと、岡部さんはとても積極的で行動的ですね。失礼ですが、何歳の時のお話ですか?

54~55歳の頃だったと思います。もともと働くのは苦にならないというか、じっとしてるのが嫌な性分なんですよね(笑)お店をするとなればやはりリスクもありますし、相談すればいろんな意見もありましたが、人ができてることは自分も挑戦したらできるんじゃないか・・・っていつもそんな感じでしたいと思った事は何でも挑戦してやってしまうんです(笑)人が聞いたら笑うかもしれないですけどね。 じゃ、10年だけ店をしようと決めて始めたんです。

オープンしたのはいつごろですか?

平成7年です。

―ではもう開店して20年・・・振り返ってみていかがですか?

s-DSC01365 店を始めるときには後継ぎなど考えてもみなかったですし、主人と2人、10年だけやろうと思って始めたんですが、途中主人が体調悪くなった時がありまして、それを機に息子が帰ってきてくれ、お店を継いでくれたんです。
そのことで2人ではできなかったこと、例えばメニューを増やしたり、お弁当を始めたり、配達をしたり・・・と息子達と力を合わせ時代のニーズに合わs-DSC01401せ、アイデアを出したりしながら20年が過ぎました。

 

 

 

 

 

―わらべのお好み焼きはどんなお好み焼きですか?

s-DSC01379s-DSC01382家庭でもできるお好み焼きですが「されど お好み焼き」です。
キャベツなら切り方、大きさ、・・・機械にかけず手作業で切ること、繊維に沿って切るのがいいのか逆らって切るのがいいのか、混ぜ方も大事ですし、卵ひとつの微妙な分量の違いで焼きがりに大きな差が出る、細かいことですが、そのひとつひとつがとても重要なんですよ。長芋はパウダーではなくすりおろしたもの、他では使ってないわらべ独自調合のソース、マヨネーズを好きなだけかけて召し上がってください。

― 一品料理やお弁当もあるんですね。

飲食店がなくなってきたり、町が変わってきたりする中でお好み焼き以外にもこんなメニューないの?と聞かれるうちに少しずつ作り始めたのがきっかけです。自家栽培している無農薬の野菜を使って煮物や漬物を作ってメニューとしてお出ししたり日替わり弁当のおかずにいれたりしています。
お弁当はひとりぐらしの高齢者の方の注文が多く、車に乗れない、スーパーまで行けない、買っても多すぎるという声を聞き、そんな方に喜んでもらえたらとお弁当を配達しています。

―自家栽培野菜で作ったお惣菜や漬物、すべて手作りということですね。

はい、無農薬の季節の野菜を使った惣菜、それから野沢菜、小松菜、みぶ菜、からし菜、大根葉等々、漬物にして保管します。先代の母は岩手の出身でした。岩手県では来客者にお茶と数種類のお漬物を出してもてなすのが習わしだそうで、一生懸命糠床の世話をしている母を毎日見ていました。その母の大事にしていた糠床を守るため、毎日かかさずかきまぜ、にんにくや山椒、唐辛子を入れてみたりと考え試した末、いきついた方法で美味しい漬物が出来上がるようになりました。100年以上の糠床にいろんな経験と試行錯誤を重ねてできあがった漬物は私の自慢です(笑)

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↑料理の他にもお店には岡部さん手製のもの、ご家族、お知り合いの方のいろんな「手作り」がありました。

s-DSC01403s-DSC01363←食事と一緒に出されたお茶も自家製はぶ茶。
ご主人が畑で育てたものを摘み乾燥させ炊き出した美味しいお茶でした。

 

 

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↑高校時代甲子園出場経験のある智弁学園野球部OBの息子さん。
      今春のセンバツ初優勝の記事や、野球選手の方々のサインもずらり。

 

―わらべの名前の由来は?

 

s-DSC01370わらべは「童」。子供さんでも気軽に来てくれたら・・・という思いからです。
味付けした生地にキャベツをいれて安くて美味しい「学生焼き」と名付けて学生さんでも気軽に立ち寄って食べてもらえたら・・・なんて考えていたんです。でも、学校帰りに寄り路もダメかなと思って、それなら、お父さん、お母さん、家族と一緒に食べに来てくれたらな、そして、子供の頃あそこに食べに行ったなって思いだしてくれるようなお店、まだあのお店やってるかなって来てくれるお店にしたいなって思いから「わらべ」とつけました。思い出してくれた時にいつでも、そしていつまでもここにあるお店でありたいですね。

岡部さん、本日はありがとうございました。

お好みハウス わらべ

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住  所 五條市本町1-2-7
電  話 0747-23-2772
営業時間 AM11:00~PM10:00
定休日  日曜・祝日
駐車場  有
※カウンター席・テーブル席有


スタッフHのすぽっとwrite☆

関西人なら、誰もが愛する粉もん。なかでも、お好み焼きはどこの家庭でもまさしく?「鉄板メニュー」ではないでしょうか?家庭で食べるお好み焼きもいいですが、お店で焼いてもらうお好み焼きはやっぱり美味しい!わらべさんの店内は初めて行ったのになぜか懐かしいような雰囲気が漂い、ソースの香りにそそられ、どれにしようか迷って注文したお好み焼きの中にはお餅が入ってて美味しかった~!
今度行った時にはお好み焼きと「漬物」も食べてみたいと思います。