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冠婚葬祭・イベントに関する記事

第59回 (有)五條公益社 葬儀会館フューネラル和(なごみ)専務取締役 吉村和紗さん

何より大事なこと 仕事に「心」を。

 

「女性にできるのか」を「女性だからできる」へ

―五條公益社様の創業者、そして創業年を教えていただけますか。
昭和35年7月、祖父が創業しました。地域の皆様のおかげをもちまして今年で60周年になります。(2020年6月取材時点)

―吉村さんがこのお仕事に就かれたのはいつですか?またその経緯は?
大学を出てクレジットカード会社のコールセンターで働いてたんですが、父がこの葬儀会館を建てるということで、平成18年、この仕事に就きました。

―こちらの会館を建てることになった経緯は?
その頃、時代の流れで自宅で葬儀をする方が少なくなってきていました。葬儀会館を持ってないということが仕事に影響し始めましたので、仕事を続けていくうえで会館は必要だということで設立に至りました。

―会館名「フューネラル和(なごみ)」は吉村さんのお名前(和紗)と関連が?
はい。葬儀会館の名前ということでいろいろ悩みましたが、家族で話し合い、これからは私が継いでいく時代になるということで私の名前から一文字とって「和(なごみ)」と名付けました。

―和紗さんという素敵なお名前はどなたが付けられたんですか?
祖父です。祖父は人の名前を付けるのが好き?だったそうで、ご近所でも子供さんが生まれたら(頼まれたんでしょうか?笑)名前を考えて付けてたそうです。

―創業者のおじい様の思いを繋いでいってらっしゃるんですね。おじい様はどんな方でしたか?
私が小学校1年生の時に亡くなったので、少しの間しか一緒に居れなかったんですが、よくバイクに乗せていろんなところに連れて行ってくれて、ほんとに「優しい、大好きなおじいちゃん」その記憶しかないんです。
祖父は先見の明があったのか、五條市にいち早く「霊柩車」を取り入れたそうです。車の数もまだまだ少なかったその時代、都会にしかなかった霊柩車をこの先必ず「車社会」になるからといって。おじいちゃん、車の免許持ってなかったんですけどね(笑)

―おじい様やご両親の仕事を見てきて吉村さんの中でいずれこの仕事を継ぐんだというお気持ちはありましたか?
ありました。小さいときは葬儀で使ったおしぼりを洗濯して干すお手伝いをしたり、大きくなってからは、式でピアノの生演奏をしたり・・・そんな経験の中で、おひとりおひとり、それぞれが違う「最後のお別れ」の場面をみてきました。そのとき、この仕事すごいなと思ったんです。自分もこの仕事したいな、できたらいいなと思いました。

―では継ぐことに対する戸惑いや不安はなかったんでしょうか?
「死」というものに向きあい、故人の最後の時をお手伝いする仕事だということは小さい頃から分かっていましたので、そういう意味での戸惑いや不安は全くありませんでした。ですが、ハード面で女性につとまるのかという不安はありました。

―ハード面とは具体的にどういうことですか?
この仕事は、特に力仕事が必要な場面が多いんです。まだ会館がなかったその頃、自宅等へ祭壇セットを運んで組み立てたり、玄関飾りや、スピーカーを運んでマイクのセット・・・男性が行うそういう力仕事が私にできるかなと思いました。でも会館を建てたら祭壇はセットされていますし、力仕事も軽減され私でもできるんじゃないかと思いましたね。でもね・・・結局力仕事って他にもいっぱいあるんですよ。だからどんどん逞しくなってしまって笑

―フューネラル和(なごみ)さんのスタッフは全員女性だそうですが?
はい、代表の父以外は全て女性スタッフですね。やはり力仕事など父に助けてもらうことはたくさんありますが、遺族の女性の方が私に、居てくれてよかった、話しやすくて安心できた、色々聞けてよかったと言っていただくこともあって大変うれしく思っています。ちょっとしたことですが、細かなところに気が付いたり、女性の方が話しやすい内容等、そういう面では女性だからこそできることがあるんだと思っています。

「最後の時」 私達ができること

―継がれた当初はまずどんなお仕事を?また当時の思い出などは?
献茶さん(葬儀で多岐にわたり活躍する専門女性スタッフ)に付いて、お茶やおしぼりを一生懸命配りました。お焼香案内のタイミング、状況に応じた声掛け、細やかな気配り、所作・・・等々、厳しく(笑)教えてもらったことを覚えています。
昔から葬儀の手伝いはしてきましたが、知らないことだらけでしたので教えてもらってほんとによかったですね。また、マナー講習の先生もお呼びし、自宅ではなく会館で行う場合のまた違った流れや案内の仕方、そして改めて言葉遣いや話すときの目線、お茶の出し方等を一から習いました。

―お仕事はどのような流れで行われるのですか?
ご依頼をいただき病院やご自宅まで寝台車でお迎えにあがり、故人様をご安置する場所までお送りします。その後「枕飾り」をさせていただいた後、お寺さんをお呼びして「枕経」をあげてもらいます。葬儀プランや日程について打ち合わせをさせていただき、故人様を綺麗なお姿にして通夜の日に納棺します。ホールの準備も整え通夜、葬儀を行います。

―HPにありました「ありがとう納棺」とは?
通常はスタッフ1名で行われることが多いのですが、専任の納棺師二名体制で故人様のお世話をさせていただきます。大切なひとときに「ありがとう」の気持ちを込めて、ご希望の着物や洋服、仏衣と手甲、脚絆(死装束のひとつで手や足に付ける服飾品)を付ける作業をご遺族様にもご参加いただいて行うものです。

―「納棺師」。映画「おくりびと」※でその存在が知られましたよね。
そうです、その映画「おくりびと」が公開されてから、納棺師にお願いするようになりました。お客様がそれを望まれるようになって。納棺師は、体を拭き、顔剃り、髭剃り、シャンプー、爪切り、お化粧、衣装等で故人様を綺麗にそして美しく安らかなお姿にします。ご家族の方は大変喜ばれます。
※出典:フリー百科辞典「ウィキペディア(Wikipedia)」「おくりびと」は2008年の日本映画。滝田洋二郎が監督を務め第81回アカデミー賞外国語映画賞および第32回日本アカデミー賞最優秀作品賞などを受賞した。

―悲しみの中での限られた時間でご家族の方は多くのことを決めないといけないんですね。
そうですね。祭壇やその他細部にわたることまで決めていただかないといけません。ご家族のご心情をお察ししできる限りのサポートをさせていただきます。
どんな仕事でも同じですが、何度も確認し確実に手配を行います。故人との最後の大切なときにお客様を怒らせてしまうミスなどありえませんので。

―和(なごみ)さん独自の葬儀でのとりはからいなどはありますか?
できるだけご家族と故人が最後に一体感をもっていただけるように献灯献花を行っています。はじめに喪主様にろうそくの灯を灯してもらいそれをお葬式が終わるまで灯し続け(献灯)、お子さんお孫さんをはじめ親族の方に棺の上に花束を手向けていただきお言葉をかけてもらってから式を始めます(献花)少しのことなんですがその瞬間を記憶に残るようにという思いで行っています。

―葬儀後はどんなことをされますか?
(仏教の場合)ご自宅に満中陰(四十九日)までお骨を安置する祭壇を飾らせていただきます。お葬式後当日に御墓に納骨される場合はそのお手伝いをさせてもらいます。その後四十九日まで七日事にご自宅へお供えのお花をお持ちします。ご家族の方がどうされてるか、困っていること、例えばいろんな手続で分からないことはないか等聞かせていただいています。

 

変わりゆく葬儀のかたち、変わらないおくる気持ち

―吉村さんは一級葬祭ディレクターの資格をお持ちですが、これはどういった資格ですか?
規定以上の葬儀実務経験年数があって、会場設営や式典運営等の「実技試験」と、宗教などの関連知識や行政手続きなど法的知識 に関する「学科試験」に合格した葬儀のプロに与えられる厚生労働省認定の資格です。幕張や司会進行など細やかで専門的な知識と実技が試されます。

―この資格を取ったことでご自身に変化などは?
そうですね、自信を持てたこと、そして、お客様に安心感を与えることができました。まだまだ男性社会のこの業界で、私が行くと「大丈夫?」という表情をされることもありました。でも、この資格証があることでお客様が安心して、あ、この子大丈夫なんやなって任せてもらえるようになりました。もちろんそこには14年間の経験や以前勤めていたコールセンターでの経験も含めてですが。それでもまだまだ初めての事ってありますけどね。

―「葬儀」に関して、昔と今、どんなことが変わってきたと感じますか?
「家族葬」が増えました。でも、都会に比べまだまだ五條市はご近所付き合いや繋がりのある地域ですので家族葬であってもご家族以外の方もお別れに参られる「小規模なお葬式」が増えたといった方がいいかもしれませんね。葬儀のかたちがかわってきたとはいえ、やはり故人を思う気持ちは変わらないですから。

そして相談に来られるお客さんの数が増えました。昔のように自宅や町内の会館で葬儀を行っていた時代はご近所の方が段取りから、食事の準備、帳場での金銭管理、片付け等をしていました。ですが今ではご家族の方がそれを行います。そのとき費用がどれくらいかかるのかなど、不安に感じるお客様、と同時にお金のことを聞きにくいという心情がおありの方もお見受けします。

―確かに、いざ家族が・・・一体何をどうしたらいいのか全くわからないです。
そうですよね。そういう方多いと思います。葬儀をさせてもらう側から言わせていただくと、不安や疑問は絶対、聞いてくださいということです。予算や意向、思いを伝えていただけたらと思います。
日頃、家族が元気であればまず葬儀のことなんて頭にないとは思いますが、「終活」という言葉があるように、元気な時だからこそ話しにくい話題を家族で話し合ってほしいと思いますし、そうすることで日々の生活で安心感を得られることにも繋がります。そういった意味でも普段なかなか足を運びにくい葬儀会館に気軽に来てもらえたらと私がずっとやりたかったイベントを企画してたんですが、コロナウイルス感染拡大防止の為、延期となり、今は状況を見ながら開催時期を検討中です。

―イベントとはどういったものですか?
今年は創業60周年の年でもありましたので、地域の皆様への感謝の気持ちと、そして「暗い」「寂しい」といったイメージを払拭し、明るく楽しいイベントにしたいと思っています。ヘッドマッサージや、パーソナルカラー診断、椅子ヨガ、人形供養、似顔絵、仏像なりきり体験、カイロプラクティック等々・・・。

―すごい盛りだくさんで、しかも美と癒し、クラフト、健康、占いと種類もたくさんでびっくりです!特に仏像なりきり体験?楽しそうですね!
はい笑笑 ぜひ!

―お仕事をする中で大切にされていることは?
どんな仕事でもそうですし、当たり前のことかもしれませんが、資格や経験はもちろん大事、でも「仕事に心がこもっているかどうか」ということ、それが何より重要で大切なことだと思っています。
そのうえで「黒子に徹すること」。私達は葬儀を進行させるという意味では、その場を取り仕切らねばなりませんが、あくまでもお客様のお手伝いをせていただいているということを絶対に忘れてはなりません。決して目立つことなく、でもしっかりと目配り気配りをするということですね。
そして地域、地元の人との繋がりです。道端で出会って挨拶して、ちょっと世間話。そんな中で質問や相談を受けることもあります。高齢のご両親が元気な時に相談なんて後ろめたい気持ちにもなりますが、そういった聞きにくいことを相談してもらえるような存在になれるよう、地域の方との繋がりを大切にしていきたいと思います。

夢と決意

―やりがいを感じるときは?
最後にありがとうと言ってもらったときですね。いつもがむしゃらにそして気を張って仕事して、気付けば、ああ、ちゃんとお見送りできてよかったっていう感じなんです。その瞬間に言ってもらえる「ありがとう」。もうそれがすべてですね。

―メンタル面がやられてしまうことなどありませんか?
やられることのないように切り替えてます。もちろん真剣に誠実に仕事をしますが心を入れすぎてしまうと壊れてしまうんです。かといって事務的になってはいけないですから。でも特殊なケースで引きずってしまった経験はあります。心も体もヘトヘトになりましたが、いつまでも引きずってたら仕事にならないのでなるべく忘れるようにしてます。仕事から離れ、ゆっくり心と体を休め、気分転換にカラオケに行ったりします。あとヨガとかライブ。心を無にしてリセットします。

ーお休みの日は何を?またご趣味は?
ダラダラしてます笑 YouTube、Hulu、撮りためた録画を見ながら笑。そして趣味はやはりカラオケ(笑)それと歌舞伎。

ー歌舞伎ですか?!なんか意外です笑!
猿之助の大ファンです。大学の時に母に海老蔵の歌舞伎に連れてってもらって以来興味を持って、いろんな人見るようになったんですけど、最終的に市川猿之助が超かっこいいってなって追っかけてます笑。もちろんファンクラブ入ってます。
あと、音楽ですかね、車では大好きなヒゲダン※聞いてます!
※Official髭男dismは、日本のピアノPOPバンド。愛称「ヒゲダン」出典:ウイキペディア

ー今後の展望、夢は?
もうひとつホールを建てたいです。今後、ますます一般葬から家族葬へと移行していくと思うので。そしてほんとはそうであってほしくはないですけど、この五條市も世代が変わり、近所付き合いが減ってしまうかもしれません。ひとり暮らしのお年寄りも増えてきます。うまく言えないですけど、いつの時代でも最後のときをお手伝いする気持ちは変わらずどんな場面でも柔軟に対応していくために時代に合ったホールを建てたいなと思います。具体的には家族葬を行うための家を建てたい、そこで家のように過ごしてもらって最後見送ってほしいと思ってるんです。
今までずっとお客様に安心してもらえる、故人とのお別れの大切な時間をゆっくりと過ごしてもらえるようにと思ってやってきました。それはこれからも変わりなく続けていきたいと思っています。

―吉村さん本日はありがとうございました。
はい、ありがとうございました。絶対イベントしますから!!(笑)
―はい。仏像なりきり体験行きますから!笑

 

葬儀会館フューネラル和(なごみ)のHPはこちらから

住    所   五條市五條3丁目383-1
フリーダイヤル  0120-00-2188(365日24時間対応)
 携帯・自動車電話・PHSからもご利用可能
F A X  0747-22-0231

☆スタッフHのすぽっとwrite☆

女性にできるのか・・・そんな不安を抱きながらも知識と経験を重ね、自信につなげてきた吉村さん。
男性に求められるような力仕事、女性に求められる細やかな部分、体力や精神力はもちろん、判断力、忍耐力・・・多くのことを身につけなければならなかったはず。

何より大事なこと・・・仕事に「心」を、黒子に徹する、そして地域とのつながりを。
吉村さんが真っすぐおっしゃったこの言葉。とても心に残りました。
優しさと強さをお持ちで、それでいてとてもノリがいい(笑)
同じ働く女性として、芯の強さや、仕事に向きあう姿勢に尊敬するばかりでした。伺う度に番犬リンに吠えられても笑、吉村さんに会うのが楽しみになる・・・そんな出会いを与えてくれた今回のインタビューでした。

 

 

 

第 56 回  小松産業株式会社 代表  小松 潤さん

 「現状」にとどまらない、たゆまぬチャレンジ精神

 

ー 本日はお忙しい中、お時間いただきましてありがとうございます。早速なのですが、お店を始められたきっかけを教えていただければと思うのですが…

 先代からのお話なのですが、元々は祝箸を作っていたことが、商売の始まりとされてるんですよ。ほら、あの丸い、お正月とかに使う箸があるじゃないですか。

ー 箸… ですか? とても意外です。

台湾で(箸の)工場も建てていたそうなんです。でも、その業績や、箸の業界も景気が悪かったのもあり… その後も箸を続けていたのかというと、続けていなかったそうなので、失敗したんでしょうね(笑)。それで、他にできることはないかと、その当時、先代は「竹の耳かき」を仕入れてきたそうなんですけど、それを粗品として、郵便局さんや銀行さん相手に通販を始めたのが現在の商売のきっかけだとされていますね。

それで、その商材を広めるために、ギフトや粗品を扱っている問屋さんと出会って、その問屋がたまたま、店売りというか、一般個人向けのギフトをやり始めていた時で、先代に、それ(一般個人向けのギフト)をしないかと声をかけられたことから、冠婚葬祭のギフトを始めた、という流れになりますね。その問屋さんが、「シャディ」さんなわけです。

ー 海を渡って工場まで建てて、それでも上手くいかず… ということで、やはりいろいろと苦労を重ねられて、ようやくこの現在の「ギフト屋さん」に辿り着いたのですね…

ー あと、「ギフト」の取り扱いを始められてから。何年くらいになるのでしょうか?

40数年かな… 会社として設立されたのが、西暦でいうと1977年なので、43年目になりますね。

ー 大体自分たちと近い年代ですね(笑) (今回のインタビュアー スタッフF:1980年生まれ  スタッフM:1976年生まれ)

ー 1977年、現在の会社が設立された当時は、先代が社長を務めておられたのでしょうか?

そうですね。当時、まだ自分は中学生でしたので。当時のお店はといいますと、今のこの社屋(店舗)にはプレハブが建っていました。仕入れた品物をプレハブに入れてあって、その一角に、商品を少しばかり並べて、自分の母親が店番をしていて… というところまでは、記憶にあります(笑)。

ー 次の質問なのですが、先代からお店を始められたとのことですが、社長自身は、お店「継ぐ」という考えはございましたか?

高校の時はなかったかな… その後、大学に進学するときに、(親から)経済学を勉強しろと言われたんですけど、自分は工学系を志していたんです。経済学とは畑違いですよね。その時に親子ゲンカをしまして(笑)… その結果でもないですが、「大学を出たら親の言うことを聞く」ということで、後を継いだんです。ですから、大学を出るまでは、自分の好きなこと勉強したい、と。

― 学生時代は、どのような分野を学んでこられたのですか?

機械工学です。でも、「商売を継ぐ」ということを意識し始めたのは、大学の頃ですかね。大学を卒業してからは、まずは問屋さん(シャディ)で4年間お世話になって、こちらへ帰ってきたという感じで…

ー 工学部で機械工学を学ばれたけどギフトの道へ… 畑違いと言えば畑違い…

そうですね。ですから(今の仕事は)あまり向いてないんかなと思います(笑)。

ー 次に、お店に関してのお話をお伺いさせていただきたいのですが、現在、世間においてはギフト屋さんも多数ある中、「小松産業」さんでしかできない、そういった「強み」はございますか?

ウチにしかできないこと… 基本的に「ギフト屋さん」って問屋から仕入れて販売しますので、商品については当然ながら似通った感じで… 何が違うかと言ったらそれはもう、サービスの内容になりますね。そういった点では、ウチはお中元や、お歳暮のカタログを自社で製作している、というところでしょうか。それと、「年間の推奨品」というカタログもあるのですが、それも自社で製作していますね。

ー そうなんですね!私も新聞の折り込みチラシに小松産業さんのカタログが入っているのを見かけたことがあるのですが、あちらは自社で製作されていたのですね。

ええ。チラシとかの印刷物は、基本的に自社で製作しています。そうすることで、ウチで買っていただいたお客様に、特典を打ち出せますので… 問屋さんの既製のカタログやチラシだと、そうはいきませんよね。それ位ですかね… ほかのお店様と違うところと聞かれると。

― でも、その取り組みは大きなことだと思います。私どもも、ガス器具等のPRのチラシを製作する機会も多いのですが、メーカーの既製品だと、その販売店の独自性がなくなりますからね。

 

あと、一昨年から始めているのは、お中元やお歳暮を買っていただいたお客様には、野菜をお渡ししています。昨年でしたら、お中元の時は玉ねぎ、お歳暮の時には白菜をお渡ししましたね。

― そのアイデアも、社長が考案されたのでしょうか?

考案、と言いますか、うちは畑が余っているので(笑)、そこで作った野菜をお客様に提供、ということで。

― いいアイディアだと思います。でもなかなか、自家製で野菜を育てていく、というのも大変なことではないでしょうか?

そうですね(笑)。休みの日なんかはほとんど1日が畑仕事で潰れてしまいますし。

 

小松産業さんの、自社製作のチラシです。写真右、お歳暮チラシの「お鍋」のインパクトが大(笑)

 

 

 

― あと、次の質問なのですが、現在このお仕事(ギフト店)をされて、大切にしておられる、信念であったり心がけ等… そういったものはございますでしょうか?

やはり、「感謝」の気持ちですね。あとは、お客様にはまず、喜んでいただけるようことを、これからもやっていきたい。とにかくお客様には「感謝」です。

― あと、御社のホームページを拝見させていただきまして、その中で、ネットショッピングも運営されておられるということなのですが、現在、インターネット通販全盛の時代において、御社におけるウエイトは、どの程度占めておられるものなのでしょうか?

その分野での売り上げは少ないですね。やはり店頭販売が今なお中心です。

ー そうなんですね。自分の中では、ギフトの販売も、インターネット通販が多くなってきているというイメージがありましたが…

確かに最近は、出産などの内祝いは、他のネット通販さんの業者にとられているというのは事実ですね。でも、うちの店では、うちのネット通販と、店頭で販売している商品の価格は同じなんですよ。でも大概、ネット通販のほうが安いでしょ?ですから「値段」だけで比較されてしまうと、ネットでは売れない。一時期、4年ほど前かな… うちも「楽天」にも出店していまして。その当時は、うちも月200~300万円くらいの売り上げがあったんですけど、結局売るために値引きのさらに値引きとなってしまって、赤字で採算がとれない、ということがありましたので、それ(楽天)は一切やめて、そこから半年くらいはネットショッピング自体も全面的に停止していましたね。

ー 売れたとしても採算が合わない… ネット通販全盛の時代といえど、なかなか一筋縄ではいかないですよね。

その後、ネット通販も再開したさいは、商品の価格は、店頭販売もネット販売も同じにしたのです。近所のお客様も、遠方のお客様も同じ条件で商売をさせていただく、ということですね。

― では、やはり中心は「店頭販売」になる、ということですね。

ー あと、小松産業さんの、ネット上におけるお話をもう少しお伺いさせていただきたいのですが、御社のホームページ上に「冠婚捜査の豆知識」というコンテンツがあったのですが、拝見させていただいたところ、すごく細やかなところまで解説があって、自分も恥ずかしながら、冠婚葬祭のルールやマナーには疎いところがあるのですが(笑)、個人的にはすごく助かります。

― そうですね。あちらは結構細かく編集をしていますね。運営には結構お金がかかっているんですけど(笑)。

驚きました。でも、今の若い方もなかなか冠婚葬祭のルールやマナーを習得することも難しいと思いますので、ギフト店という、冠婚葬祭と密接した事業として、インターネットを通じてそういったことを発信していくのも、大切なことだ思います。

 

 

広く開放感がある店内。数々のギフトが整然と陳列されています。

 

 

こちらは社用車。社長自ら、荷物を積んで配達!

 

 

 

 

― 次の質問なのですが、1977年にこちらにお店を構えられ、ギフト店を営まれておられる立場から、「時代の移り変わり」というのを感じることはございますか?

もう… 十二分すぎるほどにございます(笑)。ギフトのお返し自体も変わってきていますしね。昔は、年忌のときには20~30人、親戚の方が集まったものですが、今でしたら4~5人の身内だけで行う、という風に変わってきていますし、結婚式もいわゆる「地味婚」が多くなりましたね。

ー 最近はそうですね。 自分の周りでも、「盛大に結婚式を行った」というお話はあまり聞きませんしね…

ですから、そういったことが縮小している分、お返しもその分減ってきて…という感じですね。それと、ウチでは扱っていないのですが、お返し等においては、商品券の比率が高くなって、その分商品の比率が落ちてきている、というところで。一時は良かった時代もあったんですけど今は… いわゆる「斜陽産業」であることは否めないといった状況ですね。表現はよろしくないですが。

― そうですか… 「冠婚葬祭」という場面に長年携わっておられて、そういった場面に対する価値観や重みが変化してきているのは、先程もお話しされたように、十二分にお感じになっていると思います。

― 次の質問なのですが、ギフト店は、「冠婚葬祭」の場面においてのお仕事ということで、やはり神経を遣われると思いますが、社長自身はその部分に関しましては?

そうですね… 神経を遣うといえば、これも当たり前のことなのですが、「のし」の文字ですね。出産の場面においては、お子さんの名前、これは「点」がひとつあるないとでは大変なことになりますから。あと、最近の親御さんで多いのは、例えば奥さん側の実家からお返しをする場合、例えば奥さん側の旧姓が「小松」さん、そして結婚されて、現在の姓が「佐藤」さんだとします。この場合、内祝いの名前は「佐藤」でなければならないのですね。でも、「実家から」お祝いをしているので、のしの名前は「小松」と伝票に書いてしまうんです。そして命名札を付けて贈ってしまう… これだと、子供さんの名前は「小松〇〇さん」になってしまいますので(笑)。

ー 結構ややこしい場面もあるのですね。しかも結婚や出産といった、人生の一大イベントですし…

あとは、お葬式の満中陰志でしたら、「喪主から見た続柄」を書かなければならないのですが、伝票にはよく「長男」と書かれるんです。これだと、喪主さんの子供が亡くなったことになってしまいますので… こういう場面だと、その人が本当に長男かどうか確認しますね。続柄の違うものができてしまうこともありますので。そのあたりは十分注意しています。

― 他に気を遣うところは…

納期ですね。年忌とか、結婚の引き出物などは、「その日」でしか役に立たないものですので… 「決まった日にきっちりと届けなければならない」という点では神経を遣いますね。早め早めに(問屋に)注文をかけるんですが、その品物の生産が追いつかない、ということは過去にもありました。最近は「ヒット商品」的なものはあまりないので、そういったこともないですけど、今は「輸入品」に気をつけていますね。これらは問屋に品物がなくなると、納期が普通に1か月以上かかったりしますから。

― 「決まった日にきっちりと」というのは当たり前にできるように思えるのですが、それが人生の一大イベントに関することをお願いされるとなると… とても気を使っておられるのだと思います。

 

壁には掛け時計がいっぱい! ん?このフレーズ、どこかで聞いたような…      https://gojo-gas.co.jp/spotlight/etc/3601

 

― あと、お店に関してなのですが、一日当たりの来客者数はどれ位なのでしょうか?

少ないですよ(笑)。平日なんて、5~10人くらいで、お中元やお歳暮のシーズン時でも、20~30人来たら良いほうではないかな?お客様の出入りだけで見れば、いつ潰れてもおかしくはない、ギフト屋というはそうなんです。中には店舗に来られて、商品を1個単位で買ってくださるお客様もいて、客単価が2,3千円くらいになるのですが、結婚・出産の内祝いや、満中陰志の依頼は、数がまとまって注文をいただければ、その場合は(客単価が)数十万円にもなります。一昔前であれば、満中陰志でしたら、100万円近いお買い上げをいただいたこともありました。ですから、自分たちの商売は、「客単価が多くて、客数が少ない」というものなんです。

― そうですね、スーパー等の小売りのやりかたとはまた趣は違いますよね。

ギフト屋さんは店舗を構えているのですけれど、「お客さんの数」ではないという世界ですね。

― あと、御社のホームページのお話に戻るのですが、「虹の架け橋」という、結婚相談所も、インターネット上で運営されておられるとのことですが、この事業を始められたきっかけはどのような?

先代のゴルフ友達の奥さんが、結婚相談の事業をやっていて、おたくもギフト屋さんやっているんなら、(結婚相談を)やってみたら?ということが始まりですね。

― ギフト屋さんって、冠婚葬祭と密接している業種だけに、結婚相談の事業と一緒に行っているところも多いイメージもあるのですが、そのあたりは?

いや、少ないですよ。自分が知っているのは1件、滋賀にあるくらいかなぁ…

― 意外と少ないのですね!では、小松産業さんは貴重な存在かと… あと、社長自身がそのカウンセラーも務めておられるということなのですが、結婚相談についてのカウンセリングについて、社長自身、経験がおありだったということでしょうか?

いや、ないですね(笑)。そのあたりは、先程お話しさせていただいた、結婚相談の事業を紹介してくれたかたから、いろいろ勉強させていただいてからですね。あと、あと、ウチは「全国結婚相談事業者連盟※」というところに加盟していまして、そちらでも月1回の勉強会がありますので、同業者からのアドバイスや、いろいろ教えてもらいながら、運営させていただいております。

※全国結婚相談事業者連盟(旧 仲人ネットコム)
 
 結婚相談所連盟・仲人連盟とは、中小の結婚相談所が互いに会員情報を共有することで、他の結婚相談所に所属している会員を相互に紹介できる仕組みの事です。そういった団体の中でも、全国結婚相談事業者連盟(旧 仲人ネットコム)は、西日本(近畿と九州)に強い結婚相談所連盟で、加盟店は定期的に法令や成婚率アップのための研修を受けており、勉強熱心な方が多く在籍しています。

― 社長自身もまだまだご研鑽を… というところですね。恐れ入りました。

昔の「仲人さん」といえば、私が結婚した当時の仲人さんはと言えば、仲人さんが、この人とこの人をくっつけたら、ということを、仲人さんが決めて見合いをさせる、という感じでした。でも、今させていただいているのは、入会していただいたかたが相手を探して、お見合いをしたい人を選んで、相手がOKならばお見合いを進めていく… といったスタイルですね。

― このサービスの、反響はどのような感じなのでしょうか?あと、御社のホームページにおきましては、会員数が1万5千人とのことなのですが…

その数字は「全国結婚相談事業者連盟」の加盟店すべての会員数ですね。あとそれと、ホームページの数字は更新前ものなので、会員さんの数は今は恐らく、その倍くらいになっていると思います。

― でも、万単位の会員のかたがいらっしゃるということで、本当に真剣に、結婚をお考えの方が一定数おられるということなのですね。でも、そのお手伝いをする事業って、もちろん大変ではあると思いますし、その一方ですごくやりがいのあるお仕事だと思います。

今は「全国結婚相談事業者連盟」のエリアも関西圏から関東圏へも広がって、会員数も増えてきましたけど、五條だけのエリアに絞って、見合いをしようというのはというのは正直言って無理ですね(笑)。

― えっ、そうなんですか?

やっぱり何といっても人数が少ないですし、人数が少ないだけに、「あの人、どこかで見たことがある」とか、そうなってしまうで、避けられるというケースが多いですね。ですから、離れた土地のかたとお見合いをして、というほうが、最終的に成立しやすいでしょうね。

― そうですね(笑)。五條だけで絞れば、どこかで見たことがある、的なことは必ずあるでしょうしね。あと、社長自身、お見合いのセッティングや段取りを行うこともあるのでしょうか?

いや、そういう事はしなくて、会員同士が、お互い見合いはOKですよ、となった場合、会場のセッティングを行うだけです。そのさいは、どちらかと言えば女性側に便利な立地で、ホテルのロビーで待ち合わせて、ラウンジでお茶をしてもらって、あとは会員さんたちにお任せする… といった流れですね。あと、交際の返事をするのも、昔は仲人さんを通じてでしたが、今はパソコンで、「〇」か「×」をするだけです。

― えっ、何だか味気ない感じ?ですね… でもインターネット上でのやり取りでありば、仕方のないことなのかもしれないですね。あと、当サービスで、成婚までたどり着いた事例はどれくらいあるのでしょうか?

言えるほどもないんですけど(笑)、この3月に成婚されるかたが1組いますね。2月末に最終、(成婚が)決まって、3月にウチを退会することが決まっています。そして9月に挙式… という予定ですね。

― でも、人と人とを結びつけて幸せを見届ける… 本当にうれしいですよね。こういったお話をお伺いさせていただいただけでも、なんだか嬉しくなってきました。自分も十数年前、小松産業さんのこういったサービスを知る機会があったなら…(笑)。

― あと、今後のお店の展開はどのような?あと、どのようなお店を目指していきたいとお考えでしょうか?

これも難しいですね(笑) ただ… 「お客様に愛されるお店」として生き延びたいと。今はそれしかない。でも、「冠婚葬祭」というのはなくなることはないですよね。しかし縮小化の一途を辿っている… そこで何とか新しいことをしながら、今までやってきた事業と並行して行いながら、継続していきたいと考えています。

― そうですね。我々ガス事業も、今の五條市の「人口減・過疎化」の影響に直結する産業なだけに、現在の事業から離れず、社長が今おっしゃられた「新事業」にもチャレンジしていくことも考えなくては… というまさによく似た状況にございます。

 その「新しいこと」のさきがけとして、3/14(土)より、土日祝日限定で、「持ち帰り専用ピザ」を始めます(当インタビュー実施は3/12)。

― えっ!「ピザ」ですか? 今日お店に到着したとき、お店のガレージに置かれていたあの黄色いオブジェ、あれはいったい何だろうな、と。「ひょっとしてピザ窯ちゃうんかな?」思っていたのですがやっぱり!

あちらは元々、ウチの周年事業のときに、お客様に楽しんでもらえることとか、サービスできることはないかな?というのを考えていた時なのですが、ほら、こういったイベントごとって、大概たこ焼きとかそのあたりの提供になるじゃないですか。でも、「たこ焼きじゃオモロないなぁ」ってなりまして、同じ提供をするんなら、何か違うもの… その末、ピザを焼くことに決めて、そしてこの窯を作ったんです。

― 自作… されたのですね。すごい!

 

小松産業さんの秘蔵っ子「ネコ型ピザ焼き窯」。

ちょっとカワイイ?かな?

 

 

「ネコ君ピザ焼き窯」を裏から。本格的な「石窯」のそれです。なんとこのピザ窯を「自作」されたというのだから驚き!

 

でも当初は、「売るため」に製作した窯ではないので、窯のサイズは小さめなんです。でも、ピザも満足に焼けますので、土日だけ始めようかなと。まあウチは元々店頭に来られるお客様も少ないので(笑)。

― あちらのピザ窯、「ネコ」をモチーフとしていますよね?

そのつもりで作りました(笑)。

―「ものの製作」、流石にそのあたりは、大学で機械工学を学ばれていた所以ですよね。

いえいえ、そういう訳でもないんですが(笑)。

 あと、土日限定なのは、平日はやはり本業の配達が混んでいますので… でも、この「ピザ」をとっかかりにお客さんに実際に店舗に来てもらって、「こんな所にもギフト屋さんってあるんやで」ということを知ってもらえれば、ということで「本業のPR」というところも期待しています。

 

ピザのメニューです。定番のマルゲリータからミートソースにジェノベーゼ… 貴方はどれがお好み?

 

ー あと、先程お話に出ましたが、社長自身も配達に出られる?

もちろん。昔は数多くの従業員のかたに来ていただいておりましたけど、業態を変えてきたのと、お話させていただいたように、「お返し」の文化が様変わりしてきて、縮小の道を辿っている… ということから売り上げも落ちているので、正直「人」は雇えない状況です。

― そうですね… やはり「人件費」というのは膨大ですからね…

― あと、次の質問なのですが、五條で長くこうやってお店を営まれてこられた視点から、五條の今後であるとか、こういうところが心配… というお話はございますか?

やはり… 企業をもっと誘致することが必要でしょうね。大学まで出られて、企業がなければ、どうしても学生は外に目を向けざるをえない。五條市の給与水準も他府県等のそれとは比べようもなく… 働き口がないので人口が減っていく。ですから、それなりの企業を誘致して、五條でも働ける場を創っていかないと… 私どもではどうしようもない課題なのですが。ですから我々も、先程お話しした、今までの事業に加えて、何か違うことをしていかないと… ということで。

― そうですね。さらに雇用情勢が、企業の「買い手」市場から、求職者の「売り手」市場へと傾きつつある現在は、やはり求職者の目先が都市部へと向きますからね…  しかし、新しい事業への取り組みに関しては、結婚相談や先程のピザ屋さんの開業… それに向かって一歩踏み出して実行された社長の心意気、そして同じ五條で商売をしている、という点では当社も同じくして、ということで、今回のお話を通じ、いろいろと勉強させていただいたと思います。本日はどうもありがとうございました。

 

(編集後記)

一昔前に比べ「冠婚葬祭」の意味合いが薄れつつある現代。「冠婚葬祭」に密接した事業である「ギフト店」は、当然ながら昔のやり方ではこの先難しい。そんな中で、結婚相談、そしてピザ屋さんへの挑戦。その穏やかなたたずまいながらも、小松社長の「新しいことへ挑戦」していく熱い思いが伝わってきたように思います。当社も小松産業さんと同じく「五條」という地域に根差してお客様へサービスをお届けさせていただいている… 我々の立場からもいろいろ考えさせられた、今回のインタビューでした。

 

  小松産業 ㈱

 〒 637-0036

奈良県五條市野原西4丁目10-28

 TEL  0747-24-2351

 営業時間 9:00~18:30

 定休日    水曜日

 

(おまけ)

新事業」の一つとして、「持ち帰りピザ」の販売を始められたという小松産業さん。早速ではございますが、試食レポをさせていただきます!(既出なのですが…)

 

ピザ」といえば野菜(?)しかしここは野菜の苦手なスタッフ深瀬(;´Д`)  はたして今回チョイスしたのは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 さてさて、持ち帰りするとこまでお話が飛びまして(笑)…  箱!「piccolo pino(ピッコロピーノ (お店の名前)」ロゴはもちろん小松産業さんのオリジナル!

 

 

おもむろに箱を開けると… そこにはピザ(当たり前 笑) ということで今回チョイスしたのは「ミートソース」!

 

 

ピザの淵の部分もしっかりと焦げ目が!食欲そそります。ここで雑学。ピザの耳(端っこ)の部分っていろいろな呼び方がありますよね!「ピザの耳」とか「淵」とか「かたい部分」とか…

これって、正式名称があるようなんです。

 

… そこで、ピザの本場イタリアで何というのか調べてみたところ…

cornicione(コルニチョーネ)というそうです。corincione(コルニーチェ・額縁)からできた言葉みたいです。

ですから、ピザを食べてて、「このピザ、コルニチョーネが美味しい!」とか、「ここのピザ、コルニチョーネがちょっと固めやな!」とか言ってみれば、「は?(・_・)」と返されることウケアイ! 

 

ということで、、美味しくいただきました! ネコ窯さんありがとう(^^♪

 

 

 

 

 

当ブログをごらんの皆様も、一度是非ご賞味を! お手軽感も半端ないです!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第10回 創業明治2年紙定結納店 川合友子さん

 お二人の幸せを願いお手伝いを・・・お役に立てることが嬉しいです。

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国道24号線沿いにお店を構えます紙定結納店さま お店の自動ドアが開きますと伝統的な結納品の品々が並びます。身が引き締まる思いで声を掛けますと、優しい声で店主さんに迎えていただきました。

 

-紙定結納店様の創業を教えていただけますか。

「雑貨を扱う商店として商励会通りにs-DSC00532開業したのが、明治2年です。 初期の結納品(紙縒の水引で金封を折った袋)や、ビール、お線香やロ-ソク、柿渋で作ったカルトンなどを十津川や野迫川に卸しにも行っていたようですが・・・(私も嫁いで来たので詳しくは解らないのですが)時代の変化と共に戦後、結納専門店として営業し平成7年5月に新町1丁目8-10へ店舗を移転し現在に至っています。」s-DSC00530s-119

 

 

-屋号の由来を教えていただけますか。


「暖簾分けですね。初代の方の名前が定一さん、屋号のを頂きまして『紙定』と聞いております。」


-伝統文化の結納について教えていただけますか。
 

「結納品は、けじめとして男性側の息子さんの伴侶となる女性をここまで立派に育てて頂いた女性側の親御さんに対して感謝の気持ちを表して納める大切なものです。 最近は、人口が減っていますし、恋愛されますので納められる方が少なくなっていますし、学生の頃から都会へ出て恋愛されますと、相手さんの実家が遠いからということ等から納めない方が増えていますね。」

 

-でも、結納品を納める方もいらっしゃいますよね。

「以前の様な仲人さんがおられて納める結納は無いようですね。結婚式の招待状も○○家○○さんの長男、○○家○○さんの長女、○○夫妻媒酌人と書いてありましたよね。みんな親元が何もかもしてくれましたが、現在は、ご本人さん重視の本人さんのお名前で届くのと違いますか。けじめとして感謝の気持ちで納めていた結納ですが、意味が解らないまま要らない物は止めときましょう・・・。と若い人の意見が強くなって来ているのでしょうね。お荷物もないでしょ、住宅事情も変わってクロ-ゼットが有りますよね。着物もほとんど着なくなりましたし、(私達の頃から箪笥の肥やしになっていますが・・・・・。)着付けも私達の頃は習いに行きましたし、お茶、お華も基礎的な事を習い、みんなお嫁入り道具でしたよね。その頃は、『初心者ですので安価なお道具下さい。』とお茶の道具も買い求められる方もいましたね。結婚式当日も男性の家の仏様をお参りして、式場へ角隠しと打掛を着られて・・・・・時代に合わせて変わって来たのだと思います。

s-DSC00439  最近はホテルなどの会場を設け両家で集まり食事会を・・・結納式をされるというケ-スが多いようですね。明日も、ホテルで結納式をされますので結納品を贈らせてもらいます。形や品物も変わって来ていますが、結納品を交換されていますね。

家と家の繋がり感謝の気持ちでされていたのですが・・・・・趣旨が全く変わって来ているから致し方ないと思うのですが、やっぱり結納は納めて欲しいですね。」

 

-結納品にも理由がありますね。

「結納品には、長き歴史と大切な思いが込められています。 s-122『美しく舞う鶴のように 亀の寿命に願をかけ 変わらぬ松のみどり すくすく伸びる竹の如く 香りゆかしき白梅をそえ永遠の愛をこめて贈ります。どうぞ幾久しく納め下さい。』と・・・s-137
鶴は夫婦愛の象徴。亀は長寿と健康。松は年中の緑を保つ弥栄。竹は真っ直ぐな成長を祝います。梅は厳しい寒さに耐え春に先駆けて美しい花を咲かせ実を結ぶ事を祝い。高砂人形は共に白髪の生えるまで仲良く添い遂げるようにと。寿留女(するめ)は、剣先の烏賊を付けるのですが噛めば噛むほど味が出るので、良いお嫁さんになって下さいと。子生婦(こんぶ)は、子宝に恵まれますようにと願っています。」

 

-お商売を通じて嬉しかったことはありますか。

「『紙定さん、お世話になりました。お陰様で無事終わりました。』、『結納品、相手方さん喜んでくれました。』とお礼に来て下さる方や、お電話を下さる方、道やス-パ-でお出会いすると『紙定さん、孫ができまして幸せにしていますよ。』とお声を掛けてくれる方がいます。 自分の事の様に嬉しいですね。結納は、幸せになって頂くお手伝いをする結婚の最初のセレモニ-ですからね・・・・・。ホッとしますね。幸せで良かったなぁ。お役に立てたという事が嬉しいですね。s-150
最近は、結納品を買い求めに来て下さる方が、以前納めさせていただいた子供さんが来られます。当時は、地図を見て一生懸命お届けしたことを覚えていますので・・・家族の繋がりですか嬉しいですね。」

 

-お話を伺っていると嬉しくなりますね。反対に困っていることはありますか。

「私達は、先代さんからの教えをお伝えするのですが、最近は、本やインタ-ネットの影響が強いですよね。袋1つでも『そこには、そう書いてあったよ。』と・・・・・・ 地方には習慣、風習などの特色が有りますよね。本などには全国的な都会を中心に載っていると思うのですが・・・。奈良県、大和だけのこだわり、和歌山のこだわりを説明するのですが、年に数回伝わらない事があります。土地が変わると品変わる・・・と、正式にお伝えしたい事が伝わらないことがあって困っています。
s-DSC00526結婚式のお祝儀には夫婦紙(半紙半帖)を付けてお祝いをします。奈良県と和歌山県の習慣ですね。壱百萬円だから付ける、五千円だから付け無いと金額に関係なくて『代々続きますように・・・、ますます繁盛しますように・・・』という理由で結婚、棟上げ、出産の3つのお祝いに・・・。新築や開店祝いには付けませんね。お年寄りの方は、『半紙下さい。』『台下さい。』と買い求められます。 若い方は半紙を貰っても使わないから・・・と、またそうなって来ていますしね。京都や大阪はこの様な習慣は無いようですね。」

 

-お祝儀袋も種類が沢山ありますね。また、先程のお買い上げのお客様のように代書されるのですか。

s-138「結婚・出産の祝儀袋も男性用、女性用と共にもカラフルになってきていますね。先代の頃からお祝儀袋購入ご希望の方には、サービスで代書しています。始めた頃は字体を見て『こんなん・・・。』と聞いたこともありましたね。」

 

 

-お祝儀袋の代書をして頂けるから紙定さんで購入をと思っているお客様も大勢いらっしゃるでしょうね。また、水引で飾りを作っているところをお見かけしたのですが。

「これらの結納品は仕入れていますが、嫁いで来た当初は、水引で作っていましたし習っていました。s-145母が、教えてあげると・・・少しずつ知らなかった事を、今まで触ったことが無かった鶴や、亀が出来ると楽しいですし・・。
s-133お花や兜を作って講習会をしていた頃も在りました。 キーホルダ-なども作って、かげろう座に出店しこともありましたが手が回ら無くなり止めました。 この箸置き涼しげでしょう。水引を四つ網で編むだけなので簡単に出来ます。s-127ちょこちょこと作って置いといて、お客様に差し上げたりしています。お正月には紅白や金銀の水引で作るとまた綺麗ですよ。
現在は、お正月の角松に飾る鶴や梅花があります。ちょこっと付いているのですが知りませんか?今度よく見て下さいね(笑)、そんな梅花の飾りを水引で9月頃から作り始め3~4千個程を納めています。」

 

-小物も沢山ありますね。

「お客様が、『こんな品物欲しいねん。』と聞いて下さる方がおられて、私も好きなもので・・・・。京都の有名店から、鞄や風鈴、風呂敷などの小物を仕入れています。s-131
s-135 風呂敷は、昔と全く違ってテ-ブルクロスやスカ-フにも使える洒落た品物に・・・勿論ちりめんの風呂敷もご用意させて頂いております。 時には、お孫さんの1歳の誕生日を祝う一升餅を背負わせる時に使用する風呂敷置いてませんか?s-DSC00524唐草模様の風呂敷ありませんか?と買い求めに来られます。 風呂敷は、幸せを包み込むといわれご近所の御挨拶回りに配ったりしたものですよ。」

 

-お商売をしている中で一番大切にしていることは。

「この商売は、縁談が整い不安や疑問でご相談に来られるお客様がほとんどです。伝統的な教えと時代の変化に合った知識で十分納得、満足して頂けるようにと・・・心がけています。 最近では子供達も結婚しましたので、ある程度お客様のお気持ちが解りますので・・・・信用して頂けるように、お役に立てるように・・・・・と思っています。」

 

-これからどの様にお商売をして行きたいですか。

「今までの通りに、ご相談に来られるお客様s-DSC00451のお役に立てることが出来ますように、およろこびも そうでない時も 人生の節目にお役に立つ 小さいけれど大事な店 そんな店になりたいと願って・・続けていきたいと思っています。」

 

 

-本日はありがとうございました。

 

店名     紙定結納店
住所     五條市新町1丁目8-10
TEL    0747-22-2426
営業時間   午前9:00~午後7:00
定休日    木曜日
駐車場    有

 

お話を伺っていますと「一升餅のお祝い」と・・・聞き覚えのある言葉を、子供達の1才の誕生日、母が一升餅でお祝をしてくれた事を思い出しました。 何時の頃から始められたのでしょうか?(1才の誕生日を迎えた子供を祝うため一升のお米を使って作るおもちの事で、一生食べ物に困らないように、これから一生健やかにと願いを込めて子供の成長を祝うお祝いです。)お陰様で子供達は、すくすくと成長し続けています(笑)。 慶弔事は、地域や年代によってルールが様々で難しいですが、相談に乗っていただけるお店が身近の在ることは心強いことです。