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第1回 菓匠居 千珠庵 きく川 菊川 義崇さん

「美味しいものをつくっていきたい そして喜んでいただきたい」 それだけです。

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—きく川さんの創業は文久年間(1861~1864)とありますが、150年以上の歴史があるということですね。

菊川義崇さん(以下、同)ちゃんとした文献か資料があってというよりか、一番確かなものとしては、明治23年。お菓子屋の許可証なんですが、明治政府発行の「鑑札」というもの、営業許可証です、製造者、販売者が記されてるものです。それが2代目のものだったんです。それ以前から先代が商売をしていたという記録がありましたので過去帳を調べたり、先代の年齢などから考えると創業は文久年間の時代ということになるので、そう書かせていただいてます。

 

—以前は人形屋さんもされてたそうですね。お店を継がれた当時のお話を聞かせていただければと。

そうなんです。平成の始め頃までは人形屋と和菓子屋、両方してましたね。それがね、例えば3月なんかになると、ひな人形、おまんじゅう、両方で忙しくなるわけです。お人形の方でお客さんが来られるとやはり、接客したり、配達に行ったり・・・となると、おまんじゅうの方が手薄になってしまってたんですよね。それで私はお人形の方をやめようと、お菓子屋一本にしようと思った訳です。
私がお店を継いだ当時・・・そうですねぇ 昔からつくっているおまんじゅうはありましたが、ベースとなるものでまだ整ってない部分、例えばパッケージ、包装、そのあたりをまず整えてご進物用にできるようにしたのが最初かなと。

 

—「ミかさ」を焼いてる姿が通りから見れますね。

はい、祖父の時代からです。
毎日焼いててもね・・・毎日違うんですよ・・・仕上がりが。水加減、焼き加減、材料も分量も毎日同じなんですよ。いいですねぇ、ミかさ。おもしろいです。ミかさをずっと作っていきたいですね。ずっと。
ミかさ 焼き工程 きく川
やはり看板商品のミかさや、鮎菓子は五條の和菓子のおつかいもの、ご進物用として親しまれたいです。そのためにやはり素材はより新鮮でグレードの高いものを、なかでも小豆は北海道産大納言100%、卵は地元の養鶏会社のうみたて新鮮なものを使ってます。
「てづくり」で「美味しいものをつくっていきたい」んです。

 

—新商品なども考えられたりしますか?

新しいものを作り出していこうという研究心、意欲は常に持っているんです。ただ、正直なところ、ご注文を中心として、今は私ひとりで精一杯なところもありますので、それをどこまで反映できているかっていうとある程度は反映できていると思っています。今後も常にアンテナをはりながらかたちにしていきたいですね。
商品開発部とか、デザイナー担当部門とかがあればいいんですけどねぇ(笑)
私自身お饅頭は好きなので、あちこち勉強に行ったり、食べに行ったり、旅先なんかでも購入します。どこのお饅頭も確かに美味しいんです。美味しいんですが、でも自分ならここもっとこうするな、こう作ったら美味しくなるんちがうかなって思いからつくったひとつが「峰の月」。栗饅頭なんです。峰の月 きく川自分がこんなもの食べたいな、それなら材料はこれでいこう、仕上がりは・・・パッケージはこんなイメージで・・・という風に。あとネーミングは大事ですよね。なんで自分はこのお菓子を作ったのかっていう思いなどもありますからねぇ。出来上がったものを自分で食べてみて、美味しいなって満足できるものを作りたいですね。

 

—五條市でお商売をされていて感じることは

季節感が残ってる町だなぁと。
先月の3月3日の雛節句もそうですが、そういう季節行事が都会に比べてまだまだ生きてるなと思いますね。そういう意味では和菓子なり、和の文化が残ってる町なのでその部分をこちらがうまく、また今の時代の方達に合うように寄り添っていけるようにしていきたいですね。

—そういえば、生徒さん達の前で和菓子を作ってる姿を菊川さんのブログで拝見しましたが。

はい、あれは、「働く人に学ぶ」というテーマの授業で母校の中学校に行かせていただいたんです。生徒さん達は真剣に話を聞いてくれて、また実際に和菓子を作るところも見てもらいました。そこでは「梅」や「鈴」をイメージした生菓子をつくったんですよ。  そしたらね、できた鈴の生菓子を見て「ドラえもんの鈴やぁ♪」って(笑)  あ、若い生徒さん達にはそういうイメージなんやって・・・そんな反応もまた新しい発見、勉強のひとつでしたねぇ。私も生徒さん達と楽しく学ぶことができました。
五條には素晴らしい絵を描く、字を書く先生がいらっしゃいます。うちの和菓子のパッケージにもその先生方の作品を使わせていただいています。私も五條市の方、また他の地域の方にも名前を知ってもらえるようなお店、人になりたいですし、ありたいなと思うんです。五條で和菓子やったらきく川が美味しいよと言ってもらえるようになれたらなと思います。

 

—どんなお店にしていきたいですか

外観 きく川

店内 きく川「自分の納得した店」ですかね。
お店に来ていただいて美味しいお菓子をたくさんの方に買っていただきたい そして喜んでいただきたい それだけですね。もちろんそのためには接客も然り、店づくりも然り、まだまだまだまだ・・。 この店はいつまでも美味しいって言われたいですね。

 

—きく川さん、本日はありがとうございました。

 

千珠庵 きく川

住所   奈良県五條市五條1-5-1
電話   0747-22-1056
FAX   0747-22-4109
営業時間 月~土 9:00~18:00
定休日  日曜 ※祝日は不定休
駐車場  有

※千珠庵きく川さんのHPはこちら


☆スタッフHのすぽっとwrite☆

仕事から帰ると当時小2の娘から「これあげる」と鮎菓子をもらった。
「え?どうしたん?」「買うてきてん。」「ひとりで?」「うん!」
どうやら以前、祖母の買い物に同行し、お店は下見済み、鮎菓子の味も確信の様子。にしても・・・家には買い置きのチョコ、スナック菓子・・・。ではなく「鮎菓子」が食べたい!と小銭を握りしめひとりで買いに行ったらしい。お金は足りるか、今日も売ってるのかと不安はあったらしいが、無事「2匹買えてん♪」との事。何だか可笑しく温かい気持ちになったのは、子供が食べたくて買ってきたのが「和菓子」だったからのような気がします。
多忙な日常にふと忘れてしまいがちなことや、時代の変化で失われていくものも、和の文化に触れると「四季」や「思い出」その他色々な事を感じられます。
和の文化にはかかせない「和菓子」の材料から技法、包装、名前に至るまで、こだわりや温もりが伝わるお話をインタビューを通じて聞かせていただくことができました。