第16回 五條市立図書館 館長 百田 惠子さん

気軽に行ける図書館づくりを

 

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―五條市立図書館は現在、指定管理者制度により運営されているそうですね。

(百田館長 以下同) はい。平成25年度より(株)図書館流通センターが五條市立図書館を運営しています。同年より私もこちらの館長となりました。図書館流通センターというのは図書館総合支援企業で、公共図書館432館、学校図書館16自治体・組織(279校)、その他の施設(博物館など)15施設を受託運営しています。

 

―五條市立図書館の歴史についてお話をきかせてください。

五條市立図書館は奈良県で最も歴史のある図書館なんですね。
本図書館の沿革を見ますと、明治33年5月10日 東宮殿下(大正天皇)の大婚の祝典を記念して「群立図書館設立」を議決。8月22日、本館を五條町大字五條三○八番地に設置とあります。当時名称は「宇智群立図書館」。歴史ある県立図書館でも設立はそれより数年後ですからね・・・驚きました。
蔵書数3,826冊、当時まだ貸出というのはしていなかったようですが、一般に図書の閲覧、新聞、雑誌の縦覧をする図書館が奈良県でいちばん最初に五條市に設立されたということですね。

―明治33年・・・、ということは今から・・・?

115年の歴史があるということになりますね。
何度か移管、名称変更、移転を経て昭和32年の五條市制実施に伴い「五條市立図書館」という名称になり、現在のこの建物は昭和53年に設立されたようです。
明治時代に図書館を設立すること自体すごいことだと思いますし、さらに五條市には大変立派な偉人達がいたことが、当館に多くあります貴重な古書からうかがえます。大和五条生の幕末、明治の儒者 森田節斉の資料もそのひとつですし、天誅組のことを書かれた古書もあります。

 

 

―こちらの図書館の構造、蔵書数、貸出人数、また入館者数を教えてください。

 

s-001まず1階は大人向けの本、趣味の本や、新聞、雑誌 2階は児童書、幼児書、小説、3階は会議室、自習室、郷土資料室です。蔵書数は現在96,180冊 雑誌数は19誌だったのを雑誌オーナー制度導入により35誌増え、現在54誌です。昨年度の貸出人数は27,543人、一日平均すると約90人というところです。s-DSC00819

s-007入館者数は平成25年度が約39,000人に対し昨年平成26年度は倍近くの77,500人と大変増加したと共に貸出人数も年々増加しています。本を借りるだけでなく、新聞を読みにこられる方、本や雑誌の閲覧、自習室の利用や子供と一緒に、待ち合わせにといったかたちで図書館を利用されてます。

 

―利用者の年齢層は?また利用者数の多い時期少ない時期などありますか?

曜日や時間帯にもよりますが平日は40代~60代の女性が多いです。午後には隣の小学校の下校時間に合わせ子供達が多くなります。土日になると、家族連れや40代50代の男性。やはり小説の貸出が多いですね。利用者数は春休み、そして夏休みの7月8月が最も多く9月10月になると減ります。そして11月になるとまた増える傾向にあります。これは秋の収穫等、繁忙時期や行事など地域性のようなものも影響するのではないでしょうか。

 

―図書館には年間どれくらいの新しい本が入るのですか?またその選書はどのようにしているんですか?

昨年平成26年度ですと1,885冊、月にすると157冊ですね。本は1週間に3,000冊以上出版されているんですよ。目録や新聞の書籍広告等に目を通し、利用者からリクエストの多かった本、これはぜひとも図書館に置いておきたい本などを、偏らない様、また予算も考えながらスタッフ全員で選書しています。哲学、歴史、自然科学、芸術、文学・・・の分類別、さらに分類ごとに一般書、児童書それぞれ購入図書を選書しています。s-IMG_1957

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その反面、除籍される本もあります。汚破損や法律改正で現在使えない本、古い旅行誌など。1冊1冊廃棄すべき理由をつけ承認してもらい除籍するという大変ですが大事な作業です。

 

―雑誌オーナー制度を始められたきっかけは?

私がこの図書館に来ましたときは、雑誌は19誌でした。少ないなと思いましたし、やはり、利用者からももっと雑誌を増やしてほしいという要望がありました。しかし当然ながら予算の問題があります。

s-zasshi2雑誌数を増やせば、本の購入を減らす事になる・・・どうしよう・・と悩んだ末、オーナー制度を導入しようと思いました。現在オーナーになっていただいている会社や団体の方々にご協力いただいたおかげで、年齢層やジャンルをさらに広げた雑誌54誌を利用者にご覧いただけるようになったんです。

 

―図書館では年間いろんな展示をしておられますが、今展示中のものは?またどのような活動、行事を行っているのですか?

 

現在展示中なのが、今年で2回目となる五條高校との合同展示です。

「家族や友人にプレゼントしたい本」というテーマで五條高校図書委員42名と図書館員8名それぞれがプレゼントしたい本に紹介文を添えて展示・貸出しています。s-DSC00807
そして、今年は五條高校写真部も参加してくれ玄関入口に天平行列の写真を展示しています。s-DSC00832

昨年は漫画研究部も読書週間のポスターやPOPなどを作成してくれて少しずつ連携の輪が広がってきています。五條市立図書館のマスコットキャラクs-DSC00833ター「すーくん」も五條高校の生徒さん考案なんです。またこちらからは保育専攻を志す生徒さんの為に読み聞かせの指導に行きました。読み聞かせのコツや本の選び方などを学んだ生徒さんは、12月に図書館で行うクリスマス会で子供達の前で読み聞かせをしてくれます。
学校で活動したものを発表する場として五條高校と図書館との連携ができています。

 

―図書館は本の貸出だけでなく学校や生徒さん達、地域の方達といろんなつながりができているんですね。

はい。そうなんです。例えば今年4月から活動を始めた小学生を対象に結成された野外図書館「すーくんクラブ」があります。このクラブは「五條を知る学ぶ伝えることを根底に他校の友達と交流を交えながら工場見学や歴史散策を行う」が目的です。今年度のメンバー13名の子供達は五條の特産品の柿や古くから伝わる伝統行事について調べたり、(株)柿の葉すし本舗たなかさんや、(株)タカオカさんのダンボールの会社、工場の見学、また五條市の歴史に詳しい方と一緒に新町通りを散策するなどの活動をしました。

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そして子供達は見学や散策の中で、見たり聞いたりした事について図書館の本を使って調べ学習をし、自分達で力を合わせてまとめひとつの作品を完成させました。そして、やはり、それで終わりではなくその作品を「図書館を使った調べる学習コンクール」というのがあるんですがそちらに応募しようと今準備中です。学校も学年も違う子供達が楽しく学んでいます。

 

―他にもいろんな行事や講演会、サービスをしていますね。

s-BM2s-BM1そうですね。昭和54年から運行している移動図書館車「やまびこ号」、昭和61年からボランティアの方たちにより続けていただいている「おはなしの会」、平成25年4月からは五條市の歴史に詳しい方を招いての講演会、小学校へ読みきかせや紙芝居の出前、チリメンモンスターをさがせ、ぬいぐるみのおとまり会、本の貸出福袋、宅配サービス、インターネット予約サービス、金剛三市の相互利用など、色々とやっております。

 

―本の貸出福袋、チリメンモンスター?ぬいぐるみのお泊り会?楽しそうな企画ですね。そういったアイデアや企画、サービスが入館者数増加につながっているんですね。

そうですね。図書館は皆さんが知識や情報を得たりレクリエーションを楽しんでもらう施設です。とにかく図書館へきてもらい、興味をもってもらい本を手にしてもらい読んでもらう、そのきっかけづくりになればと考えて企画しています。s-DSC00817
「本の福袋」は年始の企画でしたものですが、一般男性、一般女性、小学校高、低学年、幼児用とそれぞれ各20袋、スタッフが選んだ本2冊を福袋に入れておくんです。どんな本が入っているかは分からない・・・けど、袋を開ければ普段自分では選ばない本が・・・それが読んでみたらおもしろかったですと好評で準備した福袋はすべて貸出されました。やはり貸出なんで差し上げる訳にはいかず返却してもらわないといけないんですけどね(笑)サプライズでちょっとしたお年玉???が入っていたり?するかもしれませんよ(笑)

 

―そうですね。確かに本って、自分で選ぶとなると迷ったり偏ったり。そんな時、オススメです!泣けます!などの紹介文や、読んでみてと勧められると迷わないですし、新しい本と出会えますよね。

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話題の本や新刊等の「帯」も綺麗に貼られ思わず立ち止まって見てしまう・・・
本選びの参考にできます。

―利用者からの要望にはどんなものがありますか?

たくさんのご意見や要望をいただいています。その中にはやはり私達でできることとできないことはありますが、できることはいち早く取り入れるようにしています。例えば、2階にも座って本を読めるスペースがほしいというご意見があり、机を設けました。本のラベルが見辛いとか、貸出期間の延長については、見直し、対応致しました。しかしながら、本の数をもっと増やしてほしい、駐車場がない、もっと新しく広い図書館などという多くの声が寄せられている要望には、やはり予算の問題等もありますし五條市としての取り組みという事になります。また前より綺麗になった、スタッフの対応に満足ですとうれしいご意見や、実施してほしいイベントなどのアイデアをいただけたりもしています。

 

―館長の図書館への思いを聞かせてください。

 

私自身の思いとしては、やはり「新しい図書館を」というのが一番ですね。
当館の図書館は、エレベーターがなく、階段が狭いので車椅子の人などは利用が困難なので、障害がある人にも配慮した新しい図書館を望みますね。そして、館内に一歩入ると静かな音楽が流れていて、天気の良い日には芝生やテラスで本が読めたり、小さい子どもが手にするような本はエアー消毒ができたり、軽食喫茶があったり、等々「新しい図書館」への理想はたくさんありますよ。(笑)でも、今の図書館に対する思いは、『五條の図書館』という昔のイメージや高い垣根を取り払って、図書館に遊びに行こう!と気軽に利用してもらえることを重点においた図書館づくりをしています。最初は、私自身が五條を知り、五條図書館のことを知ることからのスタートでしたが、そこから感じたことやアイデアなどを基にイベントを実施したり、また知り合いになった人に雑誌オーナー様になってくれそうな会社を紹介してもらったり、学校訪問ををして学校との連携を図り色々な取り組みをしてきました。これからは、その取り組みを強化・継続しながら多くの人を巻き込んで地域とつながる図書館にしていきたいですね。

 

百田館長、本日はありがとうございました。

五條市立図書館のHPはこちら

 

s-図書館修正住  所 奈良県五條市本町1-1-5
電  話 0747-22-4133
開館時間 午前9:00~午後5:00
休館日  水曜日
年末年始12/29~1/3

 

 

 


☆スタッフHのすぽっとwrite☆

五條図書館は母校の小学校のすぐ隣に建っているので、小学校入学して間もなく私は図書館デビューをしました。下校時間、門と出るとまず仲間と図書館に行って本を読んだり借りたり。それから児童館や明日の天気を教えてくれると話題のおっちゃんのお店?(笑)に寄り道。替え歌や、ハーモニカやリコーダーを吹いたり、のら猫を触ったり、子犬が産まれた家があれば遠回りして見て帰る・・・と6年間毎日同じ通学路をよくいろんなバリエーションで帰ったなぁ(笑)と○十年前の事を懐かしく思い出しました。時々、通学路だった道を歩いて図書館に行きます。当時は大きく感じた橋が今は小さく感じたり、川は綺麗に整備され、おっちゃんの店はもうないし、母校やまわりの風景も変わったような・・・懐かしさの中に寂しさも感じながら私にとって思い出がたくさんつまった図書館へとたどり着きます。

 

 

 

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